2003 Fiscal Year Annual Research Report
出芽酵母の可動性DNA領域VDEがゲノム中で伝播する分子機構に関する研究
Project/Area Number |
02J08383
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福田 智行 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ホーミング / 組換え / 減数分裂 / 出芽酵母 / DNA修復 |
Research Abstract |
出芽酵母の可動性DNA領域VDEは、コードする部位特異的エンドヌクレアーゼVDEが減数分裂期特異的に染色体二重鎖切断を誘導し、宿主が切断を修復することでゲノム中を動く。これらの反応機構をより詳細に解析するために、1)様々なDNA修復系因子の遺伝子破壊株におけるホーミング能の解析、2)VDEによる染色体切断の減数分裂期特異性に関与する宿主因子の探索を行った。 1)これまでにホーミングにはRecAホモログであるDmc1p、Rad51pが必要であることを示したが、それぞれの遺伝子にエピトープタグを結合した株を作成し、クロマチン免疫沈降法により、両タンパク質がVDEによる切断部位に結合してしいることを明らかにした。更に、切断DNAへのRad51pのリクルートに関与すると考えられるRad52p、Rad55p、Rad57pもホーミングに必要であることを明らかにし、RAD55及びRAD57遺伝子破壊株では、VDEによる切断末端にRad51pは作用できないが、Dmc1pは作用できることが分かった。これらに加え、減数分裂期組換えに関与するSae3p、Sae1p、Hop2p、Mnd1pもホーミングに必要であることを明らかにした。 2)VDEによる二重鎖切断の減数分裂期特異性の機構を解明するため、減数分裂期組換えの初発反応であるSpo11pによる染色体切断にかかわる16種の遺伝子破壊株を作成し、それぞれの株におけるVDEによる二重鎖切断及びホーミング能を解析した。いずれの破壊株においてもVDEによる切断は起きており、VDEはSpo11pが行う減数分裂期の二重鎖切断とは異なる様式により時期特異的な切断を引き起こすことが示された。また、VDEの切断配列周辺のクロマチン構造を調べたところ、切断配列付近のクロマチン構造が減数分裂期に変化していることが明らかになり、減数分裂期特異的な切断にクロマチン構造が関与している可能性が示唆された。
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