2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J08479
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 慶太郎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 超新星 / ニュートリノ / ニュートリノ振動 / ブレーン / インフレーション |
Research Abstract |
1、超新星ニュートリノにおけるニュートリノ振動の解析を詳しく行なった。具体的には、ニュートリノが検出器に到達する前に地球内部を通って来たときに受けるニュートリノ振動の影響を詳細に解析し、そのスペクトルを理論モデルと比較することによって、ニュートリノの質量2乗差をよい精度で決定できる可能性を指摘した。 2、近年注目されている宇宙論モデルである、ブレーンワールドの研究に着手した。これは我々の3次元空間が、4次元空間に埋め込まれた平面のようなもの(ブレーン)であるとするモデルである。これまで成功をおさめてきた宇宙論がブレーンワールドの枠組でどのように記述されるのか、現在ある問題群に新たな解決方法を提供するのか、というのがおおまかな研究目的である。具体的な成果は、(1)ブレーンワールドにはブレーンが2枚あってそのうちの片方が我々の世界であるとするモデルがある。このモデルにおいて2枚のブレーンの距離の変化や衝突は現象論的にも理論的にも非常に興味のあるところである。そこで、2枚のブレーンが非常に接近している状況を一般的に扱うことのできるフォーマリズムを構築した。その結果、2枚のブレーンの間の距離の実効的なポテンシャルを導出することに成功した。 (2)宇宙論の様々な問題を解決するインフレーション理論がブレーンワールドにおいても適切に機能するかどうかは、ブレーンワールドモデルが現実の宇宙を記述するかどうかの決定的な指標になる。元来ブレーン上でのインフレーション解はごく少数しか知られていなかったが、バルクに指数関数型ポテンシャルを持つスカラー場を導入することによって新たな解を得ることができた。さらに、ブレーン上でのゆらぎを計算し、観測と結び付く重要な量を求めることができた。
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