2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J08479
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 慶太郎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ブレーンワールド / Dブレーン / ダークマター |
Research Abstract |
1、ブレーンワールド、特にDブレーンを用いたモデルに関する理論的研究を行なった。 (1)多数の重なったDブレーンが作る背景時空の中を運動するテストDブレーンの運動を解析し、その上での宇宙膨張則を導いた。その結果、テストDブレーン上に高エネルギーのゲージ場が存在するときには加速膨張が起こり、そうでないときには減速膨張が起こることがわかった。また膨張則はDブレーンの次元にも依存している。 (2)Dブレーンの自己重力を考慮してDブレーン上での重力方程式の研究を行なった。Dブレーン上にはゲージ場が存在し、それが重力の源になっていると期待されるが、Dブレーン上に実効的な宇宙定数が存在しないときにはゲージ場と重力との通常の結合が存在しないことがわかった。この性質はDブレーンに関する鏡面対称性の仮定を外しても変わらず、驚くべき結果である。 2、相対論的に運動するガス殻における音波の因果律の研究を行なった。これはガンマ線バーストなどの高エネルギー現象などに適用できる研究であり、特にガンマ線バーストのジェット内に一様な磁場が存在できるかどうかを考える上で重要になってくる。結果として相対論的に運動する殻の中では音波の因果律はかなり限られた範囲に限定されることがわかった。 3、崩壊するダークマターが宇宙背景放射のゆらぎに与える影響の研究を行なった。宇宙論的時間スケールで崩壊するダークマターは宇宙背景放射のゆらぎに影響を与えるため、WMAPの精密観測によってその量や寿命は厳しく制限されることを示した。その結果、もしダークマターの全てが同一の寿命を持っていると仮定すると、その寿命は宇宙年齢の10倍よりも大きくなければならないことがわかった。
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