2003 Fiscal Year Annual Research Report
LTAGによる構文構造の学習に基づく意味的制約を備えた大規模HPSG文法の学習
Project/Area Number |
02J08571
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉永 直樹 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | LTAG / HPSG / 文法の自動学習 / 構文構造 / 文法変換 / 意味的制約 |
Research Abstract |
申請者は,研究計画に従い以下のような調査・研究を行った. 1.コーパスから獲得された文法知識から,言語学的に妥当である知識を選別する手法 2.文法変換により得られた元のLTAG文法と得られたHPSG文法との比較実験. まず1について述べる.前年度の調査および検討により,コーパスから獲得された文法的知識(動詞の下位範疇化フレーム)から言語学的に妥当でない不適当な知識を取り除き,質を改善する手法を考案した.具体的には,既存手法でコーパスから得られた各動詞に対する下位範疇化フレームの分布を,既存の語彙化文法における各動詞に対する下位範疇化フレームの分布に従い分類することで,言語学的に妥当ではない(従って構文解析時に解の曖昧性を増やすのみである)下位範疇化フレームのみを除去する.結果得られた下位範疇化フレームを構文解析に用いることで,カヴァレッジを減らすことなく曖昧性の増加を大幅に抑えられることを確認した.この結果については現在国際学会に投稿準備中である. 次に,2について述べる.本研究では,LTAGからHPSGスタイルの文法への文法変換を用いる多段階の文法学習を行う.この文法変換について,既存の大規模文法LTAG文法に対して文法変換を試み,幾つかの構文解析アルゴリズムについて,元のLTAG文法と得られたHPSG文法とで構文解析の比較を行った結果,現時点でLTAG構文解析よりもHPSG構文解析の方が構文解析速度で優れていることを確認した.これにより,文法枠組の柔軟性の観点だけからではなく,文法を実際に運用する際の構文解析システム環境の面から見ても,HPSG文法を得ることが有用であることが示せた.この結果については第41回ACL国際会議で発表を行った.また,申請者が申請時に報告した結果とまとめて,仏国の国際ジャーナルTraitement Automatique des Languesに採録された. 購入したノート型コンピュータは,1における下位範疇化フレーム選別手法および,2における構文解析比較実験のために使用された.
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[Publications] Naoki Yoshinaga, Kentaro Torisawa, Jun'ichi Tsujii: "Comparison between CFG filtering techniques for LTAG and HPSG"The companion volume to the Proceedings of the 41^<st> Annual Meeting of the Association for Computational Linguistics. 185-188 (2003)
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[Publications] Naoki Yoshinaga, Yusuke Miyao, Kentaro Torisawa, Jun'ichi Tsujii: "Parsing comparison across grammar formalisms using strongly equivalent grammars"Journal of Traitement Automatique des Langues. 44(3). 15-39 (2003)