2002 Fiscal Year Annual Research Report
口腔機能障害における神経変性疾患でのミクログリアの役割とプロテアーゼの関与
Project/Area Number |
02J09061
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
西奥 剛 九州大学, 大学院・歯学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ミクログリア / カテプシンE / 抗原提示 |
Research Abstract |
ミクログリアは脳内で免疫担当細胞として働いたり、脳組織の不要物や有害物質を食食除去するなどマクロファージ様機能を果たしているが、末梢性の免疫担当細胞とどのような点で異なっているのかについては明らかにされていない。このような相違点を明らかにすることは脳におけるミクログリアの役割をより深く理解するうえで不可欠と考えられる。本研究では、歯科疾患を含む種々の疾患時においてミクログリアがどのような役割を果たしているのか、アスパラギン酸プロテアーゼであるカテプシンEという観点より細胞生物学的に解明する。そこでミクログリアならびに外来性抗原提示に注目しカテプシンEの役割について検討を行っている。これまでの研究成果により、ミクログリアの抗原提示においてカテプシンEは、インバリアント鎖の分解ではなく抗原ペプチドへの生成においては重要な役割を果たしている可能性が示唆された。今年度は、カテプシンE欠損マウスからミクログリアを単離培養し抗原提示能を検討したところ、カテプシンEは抗原ペプチドの生成において重要な働きをしていることが明らかとなった。現在、カテプシンE欠損マウスにおいて多発性脳硬化症のモデルとされる実験的アレルギー性脳脊髄炎が誘導されるか検討中である。また末梢性の抗原提示細胞である樹状細胞についても同様にカテプシンEの役割について検討したところ、カテプシンE欠損マウスより調製した掛状細胞においては、T細胞の活性化を増大させる傾向にあった。現在、この現象について、カテプシンE欠損マウスと野生型の樹状細胞ならびにミクログリアの表面抗原の発現ならびに産生されるサイトカインの相違について検討中である。以上の研究成果より最終的にミクログリアにおけるカテプシンEの役割を解明し、カテプシンE阻害剤が脳内免疫反応にともなう炎症反応を抑制する目的で臨床応用できないかどうかについて検討を行う。
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