2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J09935
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
草山 太一 慶應義塾大学, 社会学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ハシブトガラス / ヒトの顔の表情 / オペラント / 視覚弁別 / 写真-物体認知 |
Research Abstract |
動物におけるヒトの表情認知に関する研究は主として写真やスライド刺激を用いて行われてきたが、これらの刺激は平面的であることから実際のヒトの顔と対応させて考えることはできなかった。そこで、本研究ではハシブトガラス(Corvus macrorhynchos)を対象に、刺激として実際のヒトの顔や三次元模型を用いることから、写真と実際の人物を同等に認知しているかどうか検討することを目的とした。 実験装置として正面パネルにヒトの顔と同じ程度の大きさのスクリーンが取り付けられたオペラント箱を用いた。このスクリーンは透明な板ガラスで出来ており、これを押すと反応に応じてエサが提示されるようになっていた。ある人物の「笑顔」と「真顔」の精巧な三次元模型を作成し、これらを写真印刷したものを訓練刺激として用いた。写真刺激はランダムな順序で繰り返し提示され、「笑顔」(個体によっては「真顔」)に対する反応にエサを与える弁別訓練をおこなった。連続2日間90%以上の弁別率を獲得基準とし、基準達成後に実際の三次元模型を提示した1回目の般化テストをおこなった。次に三次元模型を用いて表情弁別の再訓練をおこない、2回目の般化テストとして実際の人物の表情を提示した。 これらの結果、すべての個体において三次元模型や実際のヒトの表情を提示した場合でも表情弁別の般化が認められた。これらの立体刺激についても、カラスは訓練と同じように学習した表情に対して多く反応を示した。このことはカラスがヒトの表情写真を実際のヒトの表象として認知していることを示唆し、ヒトや霊長類で行われてきた先行研究と直接に比較検討することが可能であると考えられる。
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