2002 Fiscal Year Annual Research Report
植民地下朝鮮における朝鮮語規範化政策、運動とその社会的背景
Project/Area Number |
02J11179
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
三ツ井 崇 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 植民地支配 / 教育 / 文化運動 / 言語 / 朝鮮 / 綴字法 |
Research Abstract |
本年度は、日本植民地下朝鮮における教育政策に関する先行研究や史料を収集し、教育政策上における言語問題の位置を確認する作業をおこなった。 先行研究および史料の収集面においては、国内では、国立国会図書館、東京大学、一橋大学などにおいて調査・収集をおこなったが、二度にわたる韓国出張で、おもに大韓民国立国会図書館、同国立中央図書館、ソウル大学校付属図書館などにおいて大韓民国における研究動向を調査するとともに、関連文献・史料の収集をおこなった。 先行研究および史料の分析を経て、植民地下における朝鮮総督府の朝鮮語教育政策と当時の朝鮮人知識人による文化運動、とりわけ言語運動との間の関係性について、時代を追って変化が見られること、とくに1920年代から30年代前半にかけての時期は、単なる「支配-抵抗」の関係にとどまらない複雑な関係を見出すにいたった。そして、その関係性を朝鮮語学会という当時の言語運動団体の活動を軸にした形で論文化し(「朝鮮語学会の朝鮮語規範化運動と朝鮮語学会事件」)、公刊論文として発表した。 また、近年さかんな「言語問題」と植民地支配との関係性を問う研究の動向について、朝鮮近代史の事例に即して検証したものとして、「植民地研究と「言語問題」に関する備忘録」を著し、公刊論文として発表した。 これらの作業の結果、当時の日本語教育の問題、また1920年代以降の「文化政治」と文化運動の関係性など、分析対象に広がりを持たせる必要性を感じるに至った。すでに開始しているが、2003年度以降の継続課題としたい。
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