2004 Fiscal Year Annual Research Report
富士山の深部低周波地震の発生機構と周辺のテクトニクス場との関係
Project/Area Number |
02J20147
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Research Institution | National Research Institute for Earth Science and Disaster Prevention |
Principal Investigator |
中道 治久 独立行政法人防災科学技術研究所, 固体地球研究部門, 日本学術振興会特別研究員(PD)
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Keywords | 低周波地震 / トモグラフィー / 地震波速度 / 発震機構 / 震源分布 / マグマ / 地震観測 / 水 |
Research Abstract |
本研究では,富士山山周辺域の3次元地震波速度構造と深部低周波地震の詳細な震源分布と発震機構を明らかにする. 深部低周波地震の震源は富士山山頂から2km北東にあり北西-南東方向に向く厚さ1kmの縦板状に分布することを明らかにした.さらに,2000年から2001年の観測史上最大の活動があったときに,2-3kmの北西への震源が移動していたことを発見した.また,発震機構からマグマ等の流体運動を示唆した.以上の成果をNakamichi et al. (EPS,2004)として公表した. 富士山周辺の大学臨時稠密地震観測網と各機関の定常地震観測網の波形データからP波とS波の到達時刻の読み取りを行った.そして,震源と到達走時からDouble-differenceトモグラフィー法により、3次元地震波速度構造を推定した.富士山直下の0km以浅において山体に対応した地震波速度の高速度域の盛り上がりがある.これは2003年に実施された人工地震探査結果と調和的である.また,富士山直下の深さ5-20kmに低速度域が鉛直に存在している.これは本研究での新しい結果であり,この低速度域のVp/Vs比が低い(1.6)ことから,水の存在が示唆される.また,この領域は低周波地震の震源と近接している.一方,富士山直下の深さ20-30kmにも低速度域があるが,これはLees and Ukawa (1992)で指摘された低速度域やAizawa et al.(2004)で指摘された低比抵抗域にほぼ対応しており,Vp/Vs比が高い(1.8)ことからマグマの存在が示唆される. また,米国地質調査所に滞在して新しいトモグラフィー法をJulian博士と共同開発をしている.具体的には地震波の有限周波数効果を考慮するためにFrechet kemelを検討したことと,遠地地震と近地地震の走時の同時インバージョンのアルゴリズムの検討を行った.
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