1992 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯海草藻場生態系の発達過程と物質循環の構造に関する研究(第二次調査)
Project/Area Number |
03041027
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小池 勲夫 東京大学, 海洋研究所, 教授 (30107453)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
P・POLLARD オーストラリアCSIRO海洋研究所, 研究員
山室 真澄 工業技術院, 地質調査所, 研究員
鈴木 孝男 東北大学, 理学部, 助手 (10124588)
国井 秀伸 島根大学, 理学部, 助教授 (70161651)
相生 啓子 東京大学, 海洋研究所, 助手 (90107459)
木暮 一啓 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (10161895)
飯泉 仁 水産庁, 北海道区・水産研究所, 室長 (00159550)
野島 哲 熊本大学, 理学部, 助教授 (30112288)
向井 宏 北海道大学, 理学部, 教授 (00013590)
西平 守孝 東北大学, 理学部, 教授 (80004357)
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Keywords | 海草藻場 / 食物連鎖 / 共生 / 群体ホヤ / 栄養塩 / 窒素固定 / 摂食速度 / 増殖速度 |
Research Abstract |
本年度は、5名がフィジー国ドラブニ等の海草藻場において11月中旬から約2週間半にわたって以下のような調査・研究を行った。(1)藻場周辺および礁湖における栄養塩環境の把握、(2)窒素欠乏状態と考えられる生態系内での藍藻による窒素固定活性のアセチレン法による測定、(3)濾過捕食者として重要な位置を占める群体ホヤの藻場内における分布パターンと照度や懸濁有機物などの環境条件との関係についての解析および代表的な群体ホヤ5種類の代謝活性に測定、(4)底性及び浮遊性藍藻・従属栄養細菌の藻場周辺における分布と3-Hチミジン法による増殖速度の推定、(5)ヨコエビによる海草の摂餌速度の推定。これらの主に実験的手法を用いた解析により熱帯藻場における海草による1次生産がどのような代謝経路でプロセスされるかについての解析を行った。現在現地で得られた試料の分析中であるが、これまでに得られた結果をまとめると(1)高い窒素固定能を持つ底性藍藻場が藻場環境に広く分布し、懸濁物としても相当の割合を占めることに、又これらの藍藻が体外へ出す粘性多糖類の藻場内での懸濁凝集物の生成に対して重要であること(2)群体ホヤの中に共生藻プロクロロンによる有機物生成が大きな種類と懸濁物食者としての群体ホヤの機能が大きな種類とに分けられ、生態的な棲みわけも考えられること、(3)微小単細胞藍藻が藻場を含む礁湖の中にはその外側の1桁高く分布しており、従属栄養細菌等の分布パターンと明らかに異なることなどである。さらに本年度はフィジーで得られた試料の分析(RIサンプル)と大陸藻場の分布を調査するため、3-4日2名がオーストラリアのブリスベンのCSIRO研究所を訪問した。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] I.KOIKE: "Carbon and nitrogen budget of two ascidians and their sy-biotic algae (prochloron) from a tropical seagrass." Aust. J. Mar. Fresb. Res.Spec.vol.(1993)
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[Publications] M. YAMAMURO: "Partitioning of nitrogen stock in the vicinity of Syringodium isoetifolium (Aschert.) Dandy" Aust. J. Mar. Fresh. Res.Spec.Vo.(1993)
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[Publications] P. Pollard: "Bacterial decomposition of detrvtus in a trocpical seagrass ecosystem" Aust. J. Mar. F esh. Res.Spec.Vol.(1993)
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[Publications] H. MUKAI: "Biogeography of tropical seagrass beds" Aust. J. Mar. Fresh. Res.Scec.Vol.(1993)
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[Publications] P. Pollard: "Role of epipytic and epibenthic algal produntion in sragrass brd" Aust. J. Mar. Freth. Res.Spec.Vol.(1993)
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[Publications] H. MUKAI: "Biological communities and their developmental processes in tropical seagrass beds." Proceedings. Coastal Oceanography: Environmental characteristics and Resources. 2nd ORI-LIPI Seminor pp.1-306. 143-151 (1992)
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[Publications] M. Yamgmuro: "Nitrogen metabolism of filter-feeding bivalve and its signiflcancr in primary production at a brackish lake" Limmol. Oceanogr.IN PRESS (1993)
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[Publications] I.KOIKE: "熱帯藻場における物質循環" 海洋科学. 23. 815-821 (1991)
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[Publications] H. IIZUMI: "Nitrogen fixation at a tropical seagrass bed." J. Oceanogr.48. 377-384 (1992)
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[Publications] M.YAMAMURO: "サンゴ礁での物質循環、特に栄養塩の収支に関する諸問題" 海洋科学. 23. 985-793 (1991)