1991 Fiscal Year Annual Research Report
さまざまな管理段階にある熱帯フタバガキ多雨林の構造と更新動態
Project/Area Number |
03041064
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
鈴木 英治 鹿児島大学, 教養部, 助教授 (10128431)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
スーレ アーマッド バンドン地質工学研究所, 研究員
ヘハヌッサ ピーター E バンドン地質工学研究所, 研究部長
ハ゜ルトミハルジョ ツキリ ボゴール植物標本館, 研究員
リスワン スダルリノ ボゴール植物標本館, 館長
小池 文人 島根大学, 理学部, 助手 (20202054)
堀田 満 鹿児島大学, 理学部, 教授 (10026817)
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Keywords | インドネシア / 熱帯林 / フタバガキ科 / 天然林 / 植林 / 森林更新 / 有用植物 / 環境保全 |
Research Abstract |
西カリマンタン中部のランダック川周辺には、戦前まで愛知県ほどの広さのウガバン王国があった。この地域の森林が人間によってどのように管理され変えられたかを知るため、地域の歴史に関する王家の子孫や住民への聞込調査と森林の植生調査を行った。 ランダック川上流にテンガワン(Shorea macrophylla)というフタバガキ科の樹木の天然林がある。フタバガキ科はアジア熱帯林を代表する樹種で、ラワン材として盛んに伐採されているが、テンガワン類は果実から食用油が採れるので森林を破壊せずに利用できる。豊作年には1万トン以上の果実が西カリマンタンで収穫されている。この油は常温で固体であるが、百年以上前からヨ-ロッパに乾燥果実が輸出されるようになった。ランダック川下流にあるンガバンの町は、昔の王宮があり果実の輸送にも便利な所であるが、テンガワンは自生していなかったと思われる。そこでランダック上流から導入した果実で約百年前に1km^2以上の大規模な植林が作られた。このようなフタバガキ科の古い植林はきわめて珍しく、熱帯林を再生させるためのよい実例になる。またランダック上流域でも村の周辺では、自生していたテンガワン林を利用し、意識的、無意識的に森林を改変していた。 次に森林の変化を知るために、管理段階の異なる場所に8個の調査区(合計面積約4.5ha)を設定し、その中の幹周囲15cm以上の樹木の大きさ・樹種などを調べた。また埋土種子、土壌も調査した。自然状態のテンガワンは、小さな川沿いの平坦な土砂の堆積地にしか分布しないが、植林の範囲はもっと広かった。自然のテンガワン林が利用されるにつれて、有用植物以外は間引かれた。テンガワンは樹高40mに達する高木なので、下層を利用するためにパラゴムなどの有用植物を林内に植えて二段林構造を作り、より収益を上げようとしていた。
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