1991 Fiscal Year Final Research Report Summary
国際赤道レ-ダ-を中心とした赤道大気観測推進に関する研究調査
Project/Area Number |
03041098
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Research Category |
Grant-in-Aid for international Scientific Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 進 京都大学, 超高層電波研究センター, 教授 (10025827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 謙介 北海道大学, 理学部, 助教授 (00107450)
塩谷 雅人 京都大学, 理学部, 助手 (50192604)
中村 卓司 京都大学, 超高層電波研究センター, 助手 (40217857)
宮原 三郎 九州大学, 理学部, 助教授 (70037282)
山形 俊男 九州大学, 応用力学研究所, 助教授 (50091400)
山本 衛 京都大学, 超高層電波研究センター, 助手 (20210560)
岩坂 泰信 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 教授 (20022709)
上田 博 北海道大学, 理学部, 助教授 (80184935)
安成 哲三 筑波大学, 地球科学系, 助教授 (80115956)
中村 健治 郵政省, 通総研, 室長
福西 浩 東北大学, 理学部, 教授 (90099937)
近藤 豊 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助教授 (20110752)
住 明正 東京大学, 気候システム研究センター, 助教授 (10179294)
高橋 劭 九州大学, 理学部, 教授 (20197742)
山中 大学 京都大学, 超高層電波研究センター, 講師 (30183982)
津田 敏隆 京都大学, 超高層電波研究センター, 助教授 (30115886)
深尾 昌一郎 東都大学, 超高層電波研究センター, 教授 (30026249)
田中 浩 名古屋大学, 水圏科学研究所, 教授 (00115594)
廣田 勇 京都大学, 理学部, 教授 (70025485)
木村 磐根 京都大学, 工学部, 教授 (00025884)
COLE K.D. ラトルブ大学(豪), 教授
EBEL A. ケルン大学(独), 教授
GELLER M.A. ニューヨーク州立大学(米), 教授
ROTTGER J. EISCAT(瑞), 所長
BALSLEY B.B. コロラド大学(米国), 教授
HIDAYAT B. バンドン工科大学(インドネシア), 教授
CHANIN M.ーL. 国立超高層研(仏), 部長
LIU C.ーH. 国立中央大学(台), 学長
WYRTKI K. ハワイ大(米), 教授
WIRYOSUMARTO 技術評価応用庁(BPPT)(インドネシア), 次官
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Project Period (FY) |
1991
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Keywords | 赤道大気 / 赤道レ-ダ- / 国際協同観測 / インドネシア / 地球環境変化 / ICEAR / 国際シンポジウム / 大気海洋結合 |
Research Abstract |
本研究では赤道レ-ダ-建設候補地の現地調査を実施し、さらに赤道大気研究に関する国際シンポジウムをインドネシアにおいて開催した。 1.過去数年間にわたって行われた、赤道大気観測所設立に関するフィジビリティスタディの成果をもとに、インドネシア共和国西スマトラ州ブキティンギ市近郊に建設候補地を選定した。観測所候補地において、中心的設備となる赤道レ-ダ-・システムに関する電波環境調査を実施し、電波雑音の強果、ならびに周囲の山岳からの反射エコ-(グランド・クラッタ-)の特性を調査した。インドネシア共和国の技術評価応用庁(BPPT)が行った建設候補地の地形調査の結果をも含めて赤道レ-ダ-の詳細設計を行った。 2.京都大学超高層電波研究センタ-とBPPTが中心となって、赤道大気研究に関する国際シンポジウムが既に2回開催してきたが、国際協同観測計画等の世界的動向を調査するために平成3年5月に第3回国際シンポジウムを、ジャカルタにおいて開催した。会議には日本・インドネシア・米国・フランス・オ-ストラリアから百余名が出席し、地球環境変化を研究対象としているSTEP、IGBP、TOGA/COARE、TRMMといった国際協同観測計画と赤道レ-ダ-計画との関連を中心に活発な議論がなされた。主な結論は以下の通りである。 (1)赤道大気は海洋と結合して、局在する運動・熱エネルギ-や化学物質をグロ-バルに輸送する、地球大気循環システムのエンジン部に相当し、なかでも活動度の変動が激しいインドネシア域は地球環境変化の鍵を握る重要な領域であることが認識された。 (2)赤道大気が地球環境変化に重要な影響を与えていることは世界各国の研究者が共通して認識しているにも拘らず、赤道域での総合的な研究体制が十分に整備されていなかったために赤道大気の種々の物理化学現象の研究は未解明の部分が多いことが力説された。 (3)インドネシアの西スマトラ域は、積雲対流が活発であるばかりでなく、アジア・モンス-ンの通過路として最も興味深い地域である。また、太平洋とインド洋の境界となり、海流が複雑に変化する重要な領域である。一方、東太平洋において赤道に沿って展開されている観測網と、シベリアー日本ーインドネシアーオ-ストラリアー南極と広がる子午線沿いの観測ネットワ-クの交点として、重要な地点である。 (4)大気観測用の大型レ-ダ-(赤道レ-ダ-)を赤道直下の西スマトラ州に建設し、地表から高度約1,000kmにいたる大気を優れた時間・高度分解能で長期間にわたって連続的に測定し、赤道大気が地球環境変化に及ぼす影響を科学的に解明することが必要である。また、赤道大気研究や大気観測技術に関する最新の成果を考慮すると、多岐にわたる研究手法を有機的に結合し、赤道大気の振舞いを総合的に研究することが重要であることが示された。 (5)京都大学超高層電波研究センタ-は1984年以来MUレ-ダ-(Middle and Upper Atmosphere Radar)を用いて高度2ー400kmの大気観測を行ってきていることから、この経験を活かし赤道レ-ダ-の建設に責任を持ち、地球環境変化の科学的解明により国際社会に貢献することが要請された。 (6)赤道大気観測を有効に行うにはこれらのハ-ドウェアの建設だけでなく、運営面を重視する必要があり、日本とインドネシアが中心となって、赤道大気観測所を中心に赤道大気に関連して幅広い研究活動を、長期間にわたって定常的に支援する組織として国際赤道大気研究センタ-(ICEAR:International Center for Equatorial Atmosphere Research)提案された。 (7)インドネシア国内に赤道大気研究グル-プの育成を図るために、日本人研究者がインドネシアの主要な大学・研究機関において集中セミナ-を行うとともに、京都大学のMUレ-ダ-を用いた実験にインドネシア人研究者の参加を要請し、国際共同研究を行う必要があることが示された。
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Research Products
(1 results)