1992 Fiscal Year Annual Research Report
フリーア美術館所有の日本・東洋美術品の保在状況と修復方法の共同研究
Project/Area Number |
03044058
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
澄川 喜一 東京芸術大学, 美術学部, 学部長 (10015232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長澤 市郎 東京芸術大学, 美術学部, 助教授 (40172522)
小野寺 久幸 東京芸術大学, 美術学部, 客員教授
岡 興造 東京芸術大学, 美術学部, 非常勤講師
寺内 洪 東京芸術大学, 美術学部, 非常勤講師
小町谷 朝生 東京芸術大学, 美術学部, 教授 (60018629)
田淵 俊夫 東京芸術大学, 美術学部, 助教授 (20179865)
坂本 一道 東京芸術大学, 美術学部, 教授 (50107330)
佐藤 一郎 東京芸術大学, 美術学部, 助教授 (30143639)
大西 長利 東京芸術大学, 美術学部, 教授 (70015270)
増村 紀一郎 東京芸術大学, 美術学部, 助教授 (00157215)
小松 大秀 東京国立博物館工芸課, 漆工室長 (90090927)
中野 正樹 東京芸術大学, 美術学部, 教授 (10000332)
手塚 登久夫 東京芸術大学, 美術学部, 教授 (90114842)
浅井 和春 東京国立博物館法隆寺宝物室, 主任研究官 (60132700)
水野 敬三郎 東京芸術大学, 美術学部, 教授 (50015228)
海老根 聰郎 東京芸術大学, 美術学部, 助教授 (30000350)
辻 茂 東京芸術大学, 美術学部, 教授 (20015225)
山川 武 東京芸術大学, 美術学部, 教授 (00015223)
福井 爽人 東京芸術大学, 美術学部, 教授 (30015284)
平山 郁夫 東京芸術大学, 学長 (10015224)
稲葉 政満 東京芸術大学, 美術学部, 講師 (50135183)
BEACH Milo C フリーア美術館, 館長
FEINBERG Rob フリーア美術館, 理事
ROSENFIELD J ハーバード大学, 教授
杉下 龍一郎 東京芸術大学, 美術学部, 教授 (40015227)
新山 榮 東京芸術大学, 美術学部, 教授 (30015242)
馬淵 久夫 東京芸術大学, 美術学部, 客員教授 (30011498)
中里 寿克 東京国立文化財研究所修復技術部, 室長 (20000458)
清水 義明 ブリンストン大学, 終身教授
原 正樹 東京芸術大学, 美術学部, 教授 (70107332)
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Keywords | 保存修復 / 保存技術 / 保存科学 / 教育 / 美術館 |
Research Abstract |
本年度の当初計画のとおり4名を研究調査に派遣し、米国より3名の研究者を招聘した。渡米研究班は、フリーア美術館を中心に、前年度未調査の大学・美術館において保存修復研究の実体と機構を調査した。米国で、作品に対して、良いと判断される方向で多少の変更を容認する立場と現状維持を絶対視する立場と、修復研究者の間での「哲学」の違いによる保存修復観の際だった見解差に直面して、従来深く検討される機会のなかったわが国における「保存修復観研究」を近い将来まず解決すべき必要を痛感させられた。この問題点の摘察は、当研究における成果の一つである。 一方、招聘した米国研究者は、文化庁指定の京都及び東京の修理所におけるフリーア美術館所有の作品の修理の実態をつぶさに見学した。現場でのわが国の特殊な伝承技術による修理の実態の見学と、加えて当修理の指導に当った文化財研究所・増田勝彦氏の詳細な「装こう」装術の解説により、彼らにむしろショックというのが正しいと思われる大きな感銘を与え得た。この伝承技術の偉大な力を米国側の代表的研究者によく理解してもらえたことは、今後の保在修復研究の国際的協力のために大きな意味を持つ捨石になったと考えられる成果である。 米国の保存修復は、科学的視野に立つ研究者と修理者が一体化した形で行われる印象を持った。彼らの内には、さらに作品観賞の眼が内在する。わが国の現状では、科学者、修理者、作品観賞者が個々の立場で分業する形である。今日、早急にどちらを取るべきかの判断は出すべきではないが、両年度の調査研究をとおして、その点を明らかにすることに国際研究の基本的課題があることが確信された。
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