1991 Fiscal Year Annual Research Report
伸張受容チャネルの生物物理学的及び分子生物学的研究
Project/Area Number |
03044073
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
曽我部 正博 名古屋大学, 医学部, 助教授 (10093428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHONGQI Jing 国立気象学研究所(米国), 研究員
CHARLES L.Bo ニューヨーク州立大学, 医学部, 研究助教授
FREDERICK Sa ニューヨーク州立大学, 医学部, 教授
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Keywords | SAチャネル / 生物物理学 / 分子生物学 / パッチクランプ / パッチ膜 / 機械刺激 / 機械特性 |
Research Abstract |
本計画の目的は、SAチャネルの発見者である米国のF.Sachs博士と申請者が共同して(1)SAチャネル活性化機構の解析法の確立とその生物物理機構の解明及び、(2)SAチャネル蛋白質の同定への基礎固め、の2点である。本年度は(1)に重点を置き、申請者が約1ケ月間米国に滞在して、実験デ-タを蓄積し、逆にF.Sachs博士の研究協力者が約3週間滞日して解析プログラムの開発に従事した。その結果、以下のような成果が得られた。 1.電極内圧をステップ状に変化させた時の過渡応答を解析する理論とプログラムを開発することにより、パッチ膜の弾性と粘性を評価することが可能となった。2.サイトカラシン処理、あるいはエクサイズドしたパッチ膜を用いることにより、細胞骨格系や細胞質の膜粘弾性への寄与が評価が可能となった。3.1と2の手法を心筋と骨格筋に応用して比較することにより、膜機械特性への細胞骨格系の寄与に臓器差があることが明らかになった。4.最も重要な結果は、1.の解析理論により、パッチクランプした膜にはかなりの静止張力が発生している可能性が予測されたことである。これにより、現在最も深刻な問題である細胞全体の応答とパッチ膜の応答の間の矛盾(パッチ膜では容易にSAチャネル電流が観測されるが、細胞全体のSA電流は観測しにくい)を解決できる方向が見いだされた。次年度は、引き続きパッチ膜と細胞全体でのSAチャネル応答の定量的解析法の完成を目指すと共に、両者の関係を明かにしていきたい。またSAチャネル蛋白質の同定に向けて、特異的ブロッカ-やミュ-タントの検索、あるいはクロ-ニングの可能性についての共同研究を進めていきたい。
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[Publications] Sokabe,M.: "Quantitative videomicroscopy of patch clamped membranes:stress,strain,capacitance and stretch channel activation" Biophys.J.59. 722-728 (1991)
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[Publications] Sokabe,M.: "Electrophysiological analysis of structural aspects of voltage-dependent SR K channel." Comp.Biochem.Physiol.98C. 23-30 (1991)
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[Publications] Nomura,K.: "Anion channels from rat brain synaptosomal membranes incorporated into planar bilayers." J.Member.Biol.124. 53-62 (1991)
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[Publications] Hashino,E.: "hair cell damage and recovery following chronic application of kanamycin in the chick cochlea." Hearing Res.52. 356-368 (1991)
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[Publications] Bawman,C.L.: "Mechanotransducing ion channels in astrocytes." Brain Res.
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[Publications] 曽我部 正博: "マルチ計測超高倍率顕微鏡の開発" 比較生理生化学. 8. 22-31 (1991)
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[Publications] Sokabe,M.: "Towards molecular mechanism of the gating in stretch activated ion channel.In "Comparative Aspects of Mechanoreceptor Systems"(Ed.F.Ito) pp55-77" Springer Verlag, 309 (1992)
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[Publications] 曽我部 正博: "機械刺激受容チャネルのゲ-ティング機構.In 「ブレインサイエンス IV」(佐藤昌康編)pp202ー223" 朝倉書店, 242 (1991)