1994 Fiscal Year Annual Research Report
興奮性アミノ酸の情報伝達機構とその高次神経機能における役割
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03102005
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中西 重忠 京都大学, 医学部, 教授 (20089105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
重本 隆一 , 医学部, 助手 (20221294)
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Keywords | グルタミン酸受容体 / メダボトロピック.グルタミン酸受容体 / 視覚系神経伝達 / 標的遺伝子破壊 / 免疫組織化学 / 嗅覚系神経伝達 / 嗅覚記憶誘導 / 二次ニューロン |
Research Abstract |
我々は、グルタミン酸受容体の2つのタイプNMDA受容体とmGIuRのクローン化に成功し、NMDA受容体は、5種類のサブユニット(NR1,NR2A-2D)からなる事、又mG1uRは、少なくとも8種類のサブタイプ(mG1uRI-mG1uR8)からなる事を示し、それぞれの性質、調節、発現部位等を明かにしてきた。本年度は、個々の受容体の高次脳神経機能における役割の解析を進め、多くの新しい事実を明らかにしてきた。これらの研究成果の中で、特に興味ある成果は以下の通りである。 1)視覚系の二次ニューロン双極細胞は、ON型とOFF型に分類され、この二つの双極細砲の反応の違いにより明暗の情報が処理される。我々は、双極細砲に特異的に発現しているmG1uR6をクローン化し、免疫組織化学によってmGIuR6がON型双極細胞のシナプス後膜に限局して発現している事、更に、mG1uR6の標的遺伝子破壊によって、ON反応は消失するが、OFF反応は変化しない事を明らかにし、mG1uR6がON反応を決定する受容体である事を明らかにした。 2)嗅球のニ次二ュ-ロン僧帽細胞は、顆粒細胞とシナプスを形成し、僧帽細胞は、グルタミン酸を介して顆粒細胞を興奮させ、一方、興奮した顆粒細胞はGABAを介して僧帽細胞を抑制する。我々は、mG1uR2が副嗅球の顆粒細胞のシナプス前膜に多量に発現している事、又、mG1uR2の特異的アゴニストDCG-IVを用いて、顆粒細胞のmG1uR2の機能を電気生理学的、動物行動学的に解析し、mG1uR2は、嗅覚の分別を高める上で重要な働きをし、又嗅覚の記憶を誘導する事を明らかにした。 以上の結果は、mG1uRが、シナプスの伝達の調節に重要な役割を果たしている事、又、ニ次ニューロンが、感覚系の情報処理に不可欠である事を示すものである。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Yasumasa Bessho,et sl.: "Selective up-requlation of an NMDA receptor subunit mRNA in cultured cerebellar qranule cells by K^+-induced depolarization and NMDA yreatment." Neuron. 12. 87-95 (1994)
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[Publications] Akinori Nomura,et al.: "Developmentally reqlated postsynaptic Iocalization of a metabotropic qlutamate receptor in rat rod bipolar cells." Cell. 77. 361-369 (1994)
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[Publications] Ryuichi Shigemoto,et al.: "Antibodies inactivating mGIuRI metabotropic glutamate receptor block long-term depression in cultured purkinje cells." Neuron. 12. 1245-1255 (1994)
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[Publications] HIdeto Kaba,et al.: "Induction of an olfactory memory by the activation of a metabotropic glutamate receptor." Science. 265. 262-264 (1994)
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[Publications] Shigetada Nakanishi: "Metabotropic glutamate receptors:synaptic transmission,modulation,and plasticity." Neuron. 13. 1031-1037 (1994)
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[Publications] Masayuki Masu,et al.: "Specific deficit of the ON response in visual transmission by targeted disruption of the mGIuR6 gene." Cell. (in press). (1995)