1992 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳動物細胞における突然変異の制御とDNA複製の精度維持機構
Project/Area Number |
03102007
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
関口 睦夫 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (00037342)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古市 正人 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (70199420)
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Keywords | メチルトランスフェラーゼ / 遺伝子発現 / 突然変異 / 発がん / DNA複製 / ミューテーター / がん遺伝子 / クローニング |
Research Abstract |
(1)突然変異の誘起を抑えるDNA修復酵素の遺伝子のクローニングとその動きの解明ーO^6-メチルグアニンDNAメチルトランスフェラーゼはアルキル化剤でDNAにできた傷(O^6メチルグアニン)を修復し、突然変異や発癌を抑えるうえで中心的な役割を果たしている。この酵素のcDNAをヒト、マウス、ラットからクローニングして、その一次構造を明らかにした。また種々のアミノ酸置換変異をヒトの酵素タンパクに導入し、機能発現との関係を明らかにした。ヒトの癌由来の細胞株ではメチルトランスフェラーゼ活性を欠損しているものが多いが、欠損細胞ではこの遺伝子の発現レベルが低いことを明らかにした。欠損細胞でも転写の開始は正常通り起こるので、その以降の過程に異常があるものと考えられる。発癌におけるこの酵素の役割を明らかにするためには遺伝子欠損マウスを作製する必要があるが、そのためマウスの遺伝子のクローニングと解析を行なった。 (2)DNA複製の精度維持機構の解明ー自然突然変異の制御機構を明らかにするには、DNA複製の精度がどのようにして維持されるか、その機構を分子レベルで明らかにすることが必要である。そのため次の2つの側面から研究を行なった。まず大腸菌で明らかになった自然突然変異の生起を抑える機能をもつタンパク質に注目し、それと同様な活性をもつタンパクが哺乳動物細胞に存在するかどうか調べた。その結果MutTタンパクと同じく8oxodGTPを特異的に分解するタンパクをヒトの細胞中に見出し精製することができた。現在そのcDNAをクローニングすべく研究を進めている。一方、哺乳動物細胞の染色体DNAの複製の調節機構を明かにすべく、核内癌遺伝子産物の役割を中心に解析した。△FosBタンパクによってDNA複製サイクルの始動が起こる系を構築して研究を進めている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 真木 寿治・関口 睦夫: "MutT protein specifically hydrolyzes a potent mutagenic substrate for DNA synthesis" Natare. 3. 273-275 (1992)
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[Publications] 白石 明子・作見 邦彦・中津 可道・早川 浩・関口 睦夫: "Isolation and cheracterization of cDNA and genomic sequences of mouse O^6-methylguanine-DNA methyltransferase" Carcinogenesis. 13. 289-296 (1992)
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[Publications] 闘 玲玲・中村 崇規・中津 可道・作見 邦彦・早川 浩・関口 睦夫: "Specific amino acid sequence for O^6-methylguanine-DNA methyltansferase activity:analyses of three residues at or near the methyl acceptor site" Carcinogenesis. 13. 837-843 (1992)
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[Publications] Z.Matijaseric,関口 睦夫,D.B.Ludlum: "Release of N^2,3-ethenoguanine from chloroacetaldehyde-treated DNA by Escherichia coli3-methyladenine DNA glycosylase II" Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89. 9331-9334 (1992)
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[Publications] 莫 錦尭・真木 寿治・関口 睦夫: "Hydrolytic elimination of a mutagenic nucleotide,8-oxodGTP,by human 18 kilodalton protein:Sanitization of nucleotide pool" Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89. 11021-11025 (1992)
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[Publications] 古市 正人・穴井 元昭・作見 邦彦・関口 睦夫: "Regulatory elements for expression fo the alkA gene in response to alkylating agents" Molec.Gen.Genet.236. 25-32 (1992)