1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03151026
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
近藤 寿人 名古屋大学, 理学部, 教授 (70127083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹羽 太貫 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (80093293)
瀬戸山 千秋 熊本大学, 医学部, 講師 (60040250)
濱田 博司 東京大学, 医学部, 助教授 (00208589)
秦 順一 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90051614)
村松 喬 鹿児島大学, 医学部, 教授 (00030891)
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Keywords | 胚性腫瘍 / テラト-マ / ES細胞 / オクタマ-配列 / 遺伝子トラップ / 増殖因子 / 遺伝子破壊 / 細胞分化 |
Research Abstract |
胚性腫瘍細胞の腫瘍性幹細胞状態と非腫瘍性分化状態との間で大きな発現の変動を示す遺伝子が、単離され、また詳しく分子レベルにおいて解析された。代表例をあげると、丹羽班員は、腫瘍性幹細胞に特異的なモロニ-白血病ウイルス抑制因子ELPのcDNAクロ-ニングを行い、ELPがショウジョウバエのfushitarazu遺伝子の転写制御因子FTZーF1の哺乳類ホモログであることを明らかにした。ELPはステロイド受容体ス-パ-ファミリ-に属しており、それ自体が受ける転写制御に加え、リガンドを介した転写制御活性が注目される。また、近藤班員は、幹細胞で発現が高く、分化後、発現が低下するNーmyc遺伝子を取り上げ、幹細胞(ES細胞)において遺伝子破壊を行った。Nーmyc活性を持たないES細胞(double knockout株)は正常に増殖し、分化した。しかし、Nーmyc活性を持たないマウス胚は、いくつかの組織の形成に異常を生じ、致死となった。従ってNーmycは初期分化過程ではなく、その後の組織成塾過程に必要であると結論された。 本研究班の大きな目標の一つは、幹細胞状態と分化状態とで著しく発現の異なる遺伝子、とりわけ転写制御因子や増殖因子の遺伝子を単離、解析し、それらの機能と2つの状態との対応を明らかにすることであった。上に述べた成果に加えて、濱田班員のoct3転写因子の発現とその後の解析、また村松班員のMidkine増殖因子の発見などを合わせると、研究の目標がほぼ達成されたことになる。
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[Publications] S.Sawai: "Embryonic lethality resulting from disruption of both N-myc alleles in mouse zygotes." New Biologist. 3. 861-869 (1991)
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[Publications] H.Muramatsu: "Purification of recombinant midkire and examination of its biological activities." Biochem.Biophys.Res.Commun.176. 792-798 (1991)
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[Publications] T.Tsukiyama: "Analysis of the binding proteins and the activity of the long terminal repeat of MoMuLV." J.Virol.65. 2979-2986 (1991)
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[Publications] H.Okazawa: "The oct 3 gene,a gene for an embryonic transcription factor,is controlled by retinoic acid enhancer." EMBO J.10. 2997-3005 (1991)
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[Publications] S.Hara.: "Evidence for heterogeneous group of neural differentiation of Ewing's sarcoma." Brit.J.Cancer.64. 1025-1030 (1991)
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[Publications] Y.Miwa: "Primitive erythropoiesis of mouse terato-carcinoma cells PCC3/AX in serum-free medium" Development. 111. 543-549 (1991)