1991 Fiscal Year Annual Research Report
がん家族集積性に差のある家族間の薬物代謝酵素誘導能の比較
Project/Area Number |
03152020
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
加美山 茂利 秋田大学, 医学部, 教授 (80004547)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
道岡 攻 秋田大学, 医学部, 助手 (80006717)
島田 彰夫 秋田大学, 医学部, 講師 (70006724)
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Keywords | 発がん感受性 / がん家族集積性 / 発がん部位 / P_1ー450 / 代謝活性化 / 抱合体生成 / セルライン / リンパ球 |
Research Abstract |
がん家族集積性(一家に2人以上のがん発生者)のみられる家族と,みられない家族でのがん訂正発生率を比較すると,全がんで男8.9倍,女5.3倍であり,胃がんで男8.9倍,女22.3倍であった。このがん家族集積性には発がん部位の集積性も強く,がん家族において全てのがん発生者が均等に家族内で重複したときの重複率を0として比較した。この部位間重複率で胃がん発生者同士の家族内での重複は+30%程度で,胃がんと腸がんでは+2%程度で胃がんとこれら以外の全ての部位では-の値が示された。肺がんでは肺,腸および白血病がプラスの値で,白血病の場合,肺および白血病がプラスで,強い発がん部位の家族内重複がみられた。この発がん部位の家族間においてより,血族関係者の間で更に強く,薬物代謝酵素の誘導能の遺伝的差異に由来することを示唆する成績であった。この事から,われわれはがん家族集積性の異なる16家族,58名の採血を行い,リンパ球を分離した。リンパ球はEBウィルスおよび免疫阻害剤(cyclosporin A)処理でセルライン化して増殖させた。細胞数が10^7に増殖した時点でベンツ(a)ピレン10μg/mlで処理し,5日目に培養細胞からmRNAを抽出してノ-ザンブロット法によってアクチン,UDPーglucuronosyltransferaseおよびP_1ー450を測定した。これらの成績は,両親に胃がん,肺がんの集積したI群,両親の片方に胃または肺がんの集積したII群および両親のどちらにも胃または肺がんのないIII群に分類して比較した。P_1ー450誘導では男でI>II>IIIであったが,女ではII>III>Iで一致した成績が得られなかった。UDPーglucuronosylーtransfereseはP_1ー450の値より遥かに高値を示し,代謝活性化と抱合体生成のアンバランスによる発がん感受性の差は考えられなかった。一方疫学的にがん家族集積性は発がん部位の集積性を伴い,P_1ー450の関与を示唆するが,本研究ではそれ以上の環境因子が強く関与していた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 道岡 攻,加美山 茂利: "がん家族集積性をもたらす食生活要因" 秋田医学.
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[Publications] 道岡 攻,加美山 茂利: "がん家族集積性と薬物代謝酵素誘導能の遺伝支配の関連性" 秋田医学.
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[Publications] 道岡 攻,加美山 茂利: "がん発生の性差をもたらす食生活要因および遺伝要因" 秋田医学.