1991 Fiscal Year Annual Research Report
メラニン代謝親和性を有するメラノ-マ特異的化学療法剤の開発とその効果増強
Project/Area Number |
03152044
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
春日 孟 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (40114748)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 祥輔 保健衛生大学, 衛生学部, 教授 (70121431)
山田 一郎 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (90182518)
|
Keywords | メラニン代謝 / メラノ-マ / 化学療法剤 / メラニン前駆物質 |
Research Abstract |
1.メラニン前駆物質4ーcysteaminylaphenol(4ーSーCAP)の抗腫瘍効果 メラニン前駆物質として我々が新たに合成した4ーSーCAPを用いて、メラニン産生能の異なるB16メラノ-マ細胞株に対する致死効果を検討したところ、4ーSーCAPは高度メラニン産生性細胞に対して顕著な致死効果を示したが、非メラニン産生性細胞に対する効果は皆無であり、中等度メラニン再生性細胞に対しては中間の致死効果を示した(Yamada et al.,1991)。このような4ーSーCAPの致死効果はメラノ-マ細胞のメラニン産生すなわちチロジナ-ゼ活性に高度に依存しており、その作用機序は主としてDNA合成抑制によるものであることが明かとなった。4ーSーCAPは悪性メラノ-マに対する特異的な化学療法剤となり得る化合物と考えられた。 2.その他のメラニン前駆物質 メラニン前駆物質tyrosineに類似した化学構造を持つazatyrosineについて、B16メラノ-マ細胞に対する増殖抑制効果を検討したところ、比較的低濃度から高度の増殖抑制効果が認められた。この薬剤は最近transformed NIH/3T3細胞に対する増殖抑制効果が報告されており、その作用機序には癌遺伝子産物が関係しているとされている。我々の結果はメラノ-マ細胞に対するazatyrosineの増殖抑制効果を示した最初のものであり、その作用機序してはメラニン代謝を介するもの、癌遺伝子産物を介するもの、あるいはその両者が関係している可能性が考慮される。現在、これらの問題点を解決すべく活発な研究が行われている。 また、上記の如く4ーSーCAPを化学的に修飾することによって更に有効な化学療法剤が得られる可能性が高いと考えられることから、4ーSーCAP類縁物質の合成のために必要な有機化学的研究が現在活発に行われている。
|