1991 Fiscal Year Annual Research Report
ワクシニアウイルス法により合成されたヒトP450によるニトロソ化合物の活性化
Project/Area Number |
03152051
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
青山 俊文 信州大学, 医学部, 助教授 (50231105)
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Keywords | ヒトP450 / ニトロソ化合物 / 変異原性活性化 / ワクシニアウイルス / cDNA発現 / エ-ムステスト / 6チオグアニン / ユ-カリオ-トミュ-タジェネシス |
Research Abstract |
研究対象として選ばれた9種のニトロソ化合物のうち,5種(2,6ージメチルモルフォリン,プロピルアリルアミン,モルフォリン,ピロリジン,ジーNーブチラミン)は,それらの変異原性活性化をエ-ムステストで検出できることが明らかになった。この活性化反応はラットおよびハムスタ肝臓Sq画分中に存在するチトクロ-ムP450により触媒されるが,ヒト肝臓Sq画分を用いた場合は2,6ージメチルモルフォリンとジーNーブチラミンに対して全く触媒能を示さず,ヒトとネズミの間における著しい差異が検出された。ヒト肝臓Sq画分による3種のニトロソ化合物の活性化反応は,ワクシニアウイルス法により合成されたヒトP450を用いたエ-ムステストの結果からIIE1とIIA3(又はIIA6)の2分子種により触媒されることが明らかになり,人肝中での各P450の存在量から推定するとIIE1が支配的に触媒反応を行なうことが考えられ,この類推はポリクロ-ナル抗体による阻害実験から正しいことが証明された。4種(ジメチルニトロサミン,ジエチルニトロサミン,ニトロソプロリン,ニトロソノルニコチン)の化合物の変異原性活性化はエ-ムステストで検出できないので,チャイニ-ズハムスタ-V79およびラットヘパト-マ細胞(H4IIEC3)を用いるユ-カリオ-トミュ-タジェネシス系を試験的に使用した。6チオグアニン耐性株出現の確認により,これらの化合物も主としてIIE1により活性化されることが証明された。この試験法はニトロソ化合物のみならず,DNA傷害性物質の変異原性活性化を検出する有用な方法であり,特にワクシニアウイルス法によるヒトP450の生合成と組み合わせることにより,ヒトに対する化合物のリスクアセスメントに役立つ有用法が開発されたものと思われる。
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[Publications] 青山 俊文: "(ミニレビュ-)cDNA発現によるヒトP450の大量合成と薬物・毒物・脂質代謝への応用" 実験医学. 9. 79-93 (1991)
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[Publications] 青山 俊文: "ワクシニアウイルスベクタ-による多種遺伝子の定量的同時発現と改良ワクシニアT7高度発現ベクタ-" 実験医学. 9. 309-312 (1991)
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[Publications] 青山 俊文: "(総説)P450の遺伝子工学による合成と薬物・毒物・脂質代謝への利用" 蛋白質核酸酵素. 36. 1633-1643 (1991)
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[Publications] 青山 俊文: "(総説)ワクシニアウイルスベクタ-によるチトクロ-ムP450の生合成とその利用" 信州医学雑誌. 39. 559-572 (1991)
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[Publications] 青山 俊文: "(総説,研究法)cDNA発現に用いる組換えワクシニアウイルスの構築法とその利用法" 蛋白質核酸酵素. 37. 75-85 (1992)