1991 Fiscal Year Annual Research Report
CEAトランスジェニックマウスにおけるがん細胞の接着と転移に関する研究
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03152054
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
磯部 健一 名古屋大学, 医学部, 助教授 (20151441)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
及川 信三 サントリー, 生物医学研究所・分子生研, 研究員
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Keywords | トランスジェニックマウス / 癌転移 / 細胞接着 / CEA抗原 / 遺伝子移入 / 胸腺腫 |
Research Abstract |
C57BL/6(B6)マウス受精卵に遺伝子移入して、ヒトCEA遺伝子導入トランスジェニックマウス(CEAーtrans.)を発現量の異なる3系統樹立し、トランスジェニックマウス個体における接着分子としてのCEAの機能を検索した。CEAーtrans.はSVー40プロモ-タ-にヒトCEAcDNAを結合させた遺伝子導入マウスのため、胸腺、脾臓を含むほぼ全臓器にヒトCEAを発現した。3系統のCEAーtrans.ともに異所性にCEAを発現するにもかかわらず、外見上も病理組織学上も正常マウスとほとんど区別ができなかった。試験管内培養可能な胸腺細胞、脾細胞にて、細胞接着能、あるいは細胞と基質との接着能を検索した所、正常マウスと同様胸腺細胞、脾細胞ともに通常培養条件下では接着能を有さず、PMA、conA刺激にて同程度の強さの細胞間接着能を示した。一方、CHO細胞にヒトCEAを遺伝子移入したCHOーCEAはもとのCHO細胞に比べ、強い細胞間接着能を示した。正常リンパ系細胞は負の電荷を持ち、このため接着能が阻害されている可能性がある。我々は次にCEAーtrans.に放射線照射し、3ヶ月後に胸腺腫を発生させることに成功した。これらの胸腺腫と、正常マウス胸腺腫の性状を比較するとともにCEA分子を持った胸腺腫の転移能を正常由来胸腺腫と比較する予定である。また免疫系がCEA分子を認識し癌の排除に働きうるか、逆に免疫細胞の破壊からのがれるか否か検索する予定である。現在までに正常B6マウスより2株、CEAーtrans.より4株、B6以外の正常マウスより2株の胸腺腫が得られている。一方、CEAの実際のヒト癌における役割を検討する目的で消化器癌、肺癌におけるCEAあるいはNCAの発現を検索し、ヒト正常大腸はCEAをヒト正常肺はNCAを発現することを明らかにした。癌化に伴い、大膓癌はCEAを肺癌はNCAをまたはCEAを発現するが、全く、両者の発現が見られないものも存在した。今後、実際のヒト癌における検索と実験的な検索とを合わせ、比較検討したい。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Tadao Hasegawa: "Establishment and characterisation of human carcinoembryonic antigen transgenic mice." Br.J.Cancer. 64. 710-714 (1991)
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[Publications] Ken-ichi Isobe: "Homotypic aggregation of murine T lymphocytes induced by anti-Thy-1 monoclonal antibodies." Immunology. 73. 159-164 (1991)
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[Publications] Shinzo Oikawa: "A specific heterotypic cell adhesion activity between members of carcinoembryonic antigen family,W272 and NCA,is mediated by N-domains" The Journal of Biological Chemistry. 266. 7995-8001 (1991)