1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03152099
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
安徳 重敏 九州大学, 医学部, 教授 (40034623)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蔵 忍 九州大学, 医学部, 助手 (90037391)
|
Keywords | 亜致死障害 / 潜在的致死障害 / 回復の分子機構 / DNA切断と再結合 / 中性フイルタ-溶出法 / ネオカルチノスタチン / 高張液 |
Research Abstract |
放射線障害からの回復は,放射線治寮の成績に影響を及ぼす重要な生物学的因子の1つである。この回復の機構を明らかにする目的で,放射線によるONA主鎖切断とその再結合を調べた。ラット胎児由来の培養細胞3YI系を用い, ^<14>CーサイミジンでDNAを標識し,20〜80Gyの200KVpX線を照射し,中性フイルタ-溶出法でDNA2重鎖切断を測定した。無処置細胞の切断されずに残っている2重鎖DNAは20Gyで80%,40Gyで49%,60Gyで25%,80Gyで11%と線量効果関係がみられた。放射線照射細胞の致死効果を増強させることが知られているネオカルチノスタチン(NCS)を照射後添加し,20分間0℃にて放置しておくとDNA切断数が50%増加した。潜在的致死障害(PLD)を発現させる0.5M NaCl高張液の処理では,NCSにみられるような切断数の増加はみられなかった。 照射後37℃で培養すると2重鎖切断の再結合がみられ,約60分間培養で飽和に達し,80Gy照射で2重鎖DNAは11%から67%になるが完全に再結合することはなかった。PLDを発現させるNCS,高張液とPLD回復を促進させるHanks balanced salt液中で37℃で培養すると無処置群と同様に切断の再結合がみられ,60分培養では,いづれの群ともに残存切断数には有意の差はみられなかった。PLDを発現させる処理での再結合は,誤まった再結合をすることも考えられるが,本研究の結果は,NCSによる初期切断数の増加を除いて,コロニ-形成能からみた細胞の致死効果にみられるPLDの発現,回復とDNA切断とその再結合には相関関係はみられず,分子レベルでの結果との関係を明らかにすることはできなかった。現在再結合の速度等について詳細な研究を続けている。
|