1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03152133
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Research Institution | Japanese Foundation For Cancer Research |
Principal Investigator |
矢守 隆夫 財団法人癌研究会, 癌化学療法センター, 研究員 (60200854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鶴尾 隆 東京大学, 応用微生物研究所, 教授 (00012667)
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Keywords | 癌転移 / IGFーI / チロシンキナ-ゼ / チロシンリン酸化 / ホスファチジルイノシト-ル3キナ-ゼ / 増殖因子 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
高転移性NLー17細胞に対するIGFーIの増殖促進効果は、その血中レベルの1/10以下の濃度(10ng/ml)で認めれる。一方、低転移性NLー44細胞に対するIGFーIの効果は弱い。両者の間で、IGFーIレセプタ-発現の差は見られなかったが、NLー17細胞ではIGFーI刺激により、150〜160kDa(pp150/160)の細胞質蛋白に著明なチロシンリン酸化が認められ、このリン酸化の程度は、NLー44細胞に比べ有意に高いことが判明した。この反応はEGF、PDGFでは惹起されずIGFーIに特異的であった。pp150/160のチロシンリン酸化はIGFーI添加後10秒以内に認められ、IGFーIを除去すると30分以内で基底状態に復帰した。以上のことから、pp150/160はIGFーIのシグナル伝達に重要な役割をなすと考えられた。そこで、増殖因子レセプタ-キナ-ゼの基質として注目されているホスホリパ-ゼCγ(PLCγ)およびホスファチジルイノシト-ル3キナ-ゼ(PI3K)との関連を調べた。PLCγ(145kDa)はその分子量がpp150/160と近いが、IGFーIではPLCγのチロシンリン酸化はおこらず両者は異なる分子であった。一方、IGFーI刺激したNLー17細胞抽出液を抗PI3Kモノクロ-ナル抗体CA3(東京大学農学部福井泰久博士より供与された)で免疫沈降し、沈降物を抗リン酸チロシン抗体によりイムノブロットした結果、PI3Kにチロシンリン酸化されたpp150/160が結合していることが明らかとなった。従って、pp150/160はIGFーI刺激によりチロシンリン酸化されPI3Kに結合することによってIGFーIのシグナル伝達に関与することが示唆された。pp150/160のチロシンリン酸化体の精製を行なうため、モノクロ-ナル抗リン酸チロシン抗体MAb25.2G2産生ハイブリド-マを樹立した。この抗体で作製したアフィニティカラムに、IGFーI刺激したNLー17細胞抽出液をかけることによりpp150/160の濃縮と部分精製に成功した。この画分には、pp150/160以外の微量蛋白のチロシンリン酸化体が含まれており、さらに精製を進めている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yamori,T.et al.: "Insulin-like growth factor I rapidly induces tyrosine phosphorylation of a Mr 150,000 and a Mr 160,000 protein in highly metastatic mouse colon carcinoma 26 NL-17 cells." Cancer Res.51. 5859-5865 (1991)
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[Publications] 矢守 隆夫,鶴尾 隆: "癌転移と増殖因子" 蛋白質 核酸 酵素. 36. 1400-1405 (1991)