1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03202110
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 圭三 東京大学, 薬学部, 教授 (30072937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊川 清美 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (90120146)
加須屋 実 富山医薬大学, 医学部, 教授 (50045382)
岡田 昌二 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (40046256)
大西 克成 徳島大学, 医学部, 教授 (10037400)
井村 伸正 北里大学, 薬学部, 教授 (70012606)
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Keywords | 環境汚染物質 / 健康影響 / 複合要因 / 同時曝露 / 生体側要因 |
Research Abstract |
本研究においては、微量かつ長期にわたる環境汚染物質の健康影響について、(1)同時曝露される他の汚染物質、(2)環境要因、(3)人体側生理的要因、の3つの複合要因の影響について解析を進めている。本年度の研究において以下の点が明らかにされた。 1.最近、超伝導体素材として繁用されているイットリウムについて、その毒性および体内動態に関する研究を開始し、まずその急性毒性を明らかにした。2.無機砒素化合物の発ガン性発現の機構についてヒト肺培養細胞を用いて解析した結果、この化合物が細胞内でO_2^ーを生成するとともに、自らはジメチル過酸化砒素ラジカルとなり、これらが、DNAの化学修飾を引き起こすことを明らかにした。3.体内に取り込まれる水銀の供給源として、口内アマルガムが考えられ、アマルガム量と尿中水銀濃度との関連を調べた結果、一部相関が見い出された。また、都市河川域や、カドミウム汚染地域での地域調査も行った。4.グルタチオンベルオキシダ-ゼの動物種差および組織特異的発現について検討し、モルモットの肝、腎、心臓において本活性が著しく低く、カタラ-ゼがこれを補っていることが示唆された。5.酸化的障害を受けると、生体成分の免疫機構による認識が変化することを、赤血球膜糖タンパク質を用いて裏付けた。また、障害臓器において、リン脂質加水分解酵素が活性化されており、これが酵素誘導と基質側の変化によるものであることが示された。6.解毒代謝に関与するチトクロ-ムPー450の含量変動機構について内分泌ホルモンとの関連を検討したところ、あるPー450分子種は、甲状腺ホルモンによって抑制的に調節されること、更にセレンの過剰摂取は、このホルモンの産生能に働いて、Pー450の変動に寄与していることが明らかにされた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 村上 誠: "グル-プII型ホスホリパ-ゼA_2阻害剤はマスト細胞の脱顆粒を阻害する" Biochem.Biophys.Res.Commun.181. 714-721 (1991)
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[Publications] 新井 洋由: "薬物による酸化的組織障害とリン脂質代謝" 蛋白質・核酸・酵素. 36. 453-461 (1991)
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[Publications] 片岡 恵子: "1ーニトロピレンの代謝的活性化・不活化反応の種差" Cancer Res.59. 3919-3924 (1991)
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[Publications] 菊川 清美: "脂質過酸化物と目のレンズのクリスタリンの相互作用によるケイ光物質の生成" Biochim.Biophys.Acta. 1096. 108-114 (1991)
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[Publications] 村山 ノリエ: "ラット肝における2つのフェノバルビタ-ル誘導性P450の甲状腺ホルモンと成長ホルモンの影響" Mol.Pharmacol.39. 811-817 (1991)
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[Publications] DaーWei Gong: "肝Nーヒドロアリルアミンスルホトランスフェラ-ゼの精製" J.Biochem. 110. 226-231 (1991)