1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03202207
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
中村 厚三 群馬大学, 工学部, 教授 (50011036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 一正 群馬大学, 工学部, 講師 (50008512)
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Keywords | 石炭 / 脱硫 / 脱硫菌 / Sulfolobus acidocaldarius / dibenzothiophene |
Research Abstract |
本年度は、1)栃木県南・中部及び群馬県北西部の土壌より昨年度採取し、石炭中の有機態硫黄のモデル物質であるDBT(dibenzothiophene)を資化する能力が認められたPseudomonas属の菌、10株の石炭に対する脱硫効果および2)東京工業大学大島泰郎教授より供与され、石炭中の有機態硫黄の脱硫が可能であると期待されているsulfolobus acidocaldarius strain 7の石炭に対する脱硫効果についてそれぞれ検討した。1)イリノイ炭(全硫黄3.36%、硫酸塩硫黄0.45%、黄鉄鉱硫黄0.67%、有機態硫黄2.24%、粒径74ー105μm)に対するスクリ-ニング菌の脱硫実験を全自動硫黄分析計を用いて行ったところ、石炭中の有機態硫黄の脱硫に関してはあまり効果が忍められなかったものの(最大脱硫率2.23%)、硫酸塩硫黄(最大脱硫率88.89%)や黄鉄鉱硫黄(最大脱硫率25.37%)に対しては明確な効果を示す菌の存在が明かとなった。このような菌は石炭中の無機硫黄を脱硫するうえで有望であると考えられ、今後この菌を用いて無機硫黄分の高い石炭の脱硫実験を試みる予定である。2)DBTに対するsulfolobus acidocaldarius strain 7の資化能力を測定したところ、培養開始後二日目でほぼ100%のDBTが分解されることが明かとなった。しかし残念ながら、イリノイ炭中の有機態硫黄に対してはあまり効果が認められなかった。この菌を12日間作用させた際のイリノイ炭中の全硫黄の脱硫率は最大45%であり、そのうち菌による効果は約8%であった。今年度検討した範囲では、培養時の振とう速度が速い場合(160>100回/分)、石炭の粒径が大きい場合(74‐105>37‐74μm)、高い脱硫率が得られた。前者の原因は振とう速度を上げることにより培地中の溶存酸素量が増大し、このため菌の増殖速度が大きくなったためであると考えられるが、後者に関しては現在のところその理由は不明である。今後この菌の脱硫率を高めるための諸条件を検討していきたい。
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