1991 Fiscal Year Annual Research Report
重金属耐性微生物の土壌中での動態と土壌生態系に及ぼす影響ー特に組換え微生物の野外放出に備えてー
Project/Area Number |
03202211
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金沢 晋二郎 東京大学, 農学部, 助手 (10011967)
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Keywords | 重金属汚染土壌 / 重金属耐性菌 / カドミウム耐性細菌 / カドミウム耐性細菌の増殖速度 / カドミウム除去能 |
Research Abstract |
重金属の環境汚染に関する研究は,汚染地の実態調査、植生や人体ヘの影響及び生物濃縮等に関するものが主体で、土壌生態系即ち土壌微生物や土壌の機能に及ぼす影響は殆ど解明されていない。特に重金属耐性菌の遺伝子レベルでの耐性機構の解明は開始されたばかりで未知の部分が多い。また、重金属耐性菌の土壌中での動態や生態系に及ぼす影響も解明されていない。 以上の考察に基ずき、本年度はカドミウムや銅汚染地として知られる群馬県太田市、長崎県対馬および富山県神通川流域から計29地点の汚染土壌を採取し、これら汚染土壌におけるカドミウム耐性細菌数の測定と耐性菌の単離を試みた。併せて水処理において重金属除去のための微生物フィルタ-の開発を想定して、単離した細菌の重金属除去能を検討した。 得られた結果えを要約すれば次のごとくである。 1)カドミウム高濃度汚染地である対馬では畑及び水田土壌のカドミウム耐性菌数はともに対照の田無土壌よりも、数十倍から数百倍も富加していた。汚染の程度が高いほどカドミウム耐性菌が多かった。 2)カドミウム耐性細菌は、対馬土壌から8株単離したが、その中には10mMもの高濃度のカドミウムに耐えうるカドミウム耐性菌が見出された。非汚染地の田無土壌からも6株のカドミウム耐性細菌を分離した。田無の1株を除く全ての耐性菌は、亜鉛及び銅耐性を有していた。 3)カドミウム耐性の最も強い菌株を選び、Nutrient broth培地を用い30℃でそれらの菌を培養した。いずれの菌株ともに1日で最大菌数に達した。従って、単離した高濃度カドミウム耐性菌の増殖速度はいずれも極めて速いことが示された。 4)最も高いカドミウム除去能力を示す耐性菌株は菌体1g当り約30mgのカドミウムを除去出来ることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 金沢 晋二郎・森 敬太・広木 幹也・松本 聰: "重金属土壌汚染とセルラ-ゼ活性第1報現地重金属土壌汚染のエキソセルラ-ゼ活性" 環境科学会誌.
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[Publications] Shinjiro KANAZAWA: "A Method for the Determination of Exocellulase Activity in Soils" Soil Sci Plant Nutr.,.