1991 Fiscal Year Annual Research Report
沖縄本島東部沿岸域の開発と堆積環境の評価に関する研究
Project/Area Number |
03202244
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
平良 初男 琉球大学, 理学部, 教授 (70044998)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
棚原 朗 琉球大学, 理学部, 助手 (00217100)
大森 保 琉球大学, 理学部, 助教授 (00045022)
|
Keywords | 堆積速度 / 底質 / Pbー210 / 金武湾 / 中城湾 |
Research Abstract |
金武湾から6点の底質試料を採取し、その堆積速度を測定した結果、β線測定法と非破壊γ線法による測定値がよく一致した。金武湾における堆積速度は測定誤差の少ないβ線法で0.23〜0.39g/cm^2/yで、堆積物表層での見かけの上昇速度は0.29〜0.49cm/yとなり、隣接する中城湾の見かけの値(0.34〜0.59cm/y)とほぼ同様な傾向を示した。Pbー210供給量についても2.81〜3.99dpm/cm^2/yで中城湾の値(2.26〜5.00dpm/cm^2/y)とほぼ同様な結果を示した。また、陸地に近く、かつ、海水の流れが緩慢な地点での堆積速度は一般に大きい傾向を示した。蛍光分析法による主成分の検討の結果、主成分は一般に土壌成分であるSi、Al、Feなどが高年著しく増加し、逆にCa成分(Carbonate砂質)は減少している。このことから同海域は周辺陸地部分の開発の影響を濃く反映していることがわかる。また、微量成分についてはMn、Zn、Cu、Pbなどの元素は一般に増加傾向を示すのに対し、NiやCoなどはほぼ一定値を示している。 中城湾からは8点の底質を採取した。堆積速度は沿岸付近で0.59cm/yと比較的早く、沖合い地点で0.34〜0.37cm/yとほぼ一定値を示している。これは隣接陸域部の開発の影響によるものであろうと思われる。これらの値は宍道湖(0.071〜0.13cm/y)や琵琶湖(0.08〜0.13cm/y)などでの値より大きく、東京湾の値(0.79〜1.10cm/y)より小さい。また、Pbー210の供給量は一般に堆積速度の早い地点で大きいがこれはPbー210の供給が流入してくる比較的新しい堆積物によるためであろうと思われる。中城湾の底質は一般に砂質が主であるが、一部に珪酸塩に富んだ地点も見られる。これらの地点はいずれも陸地に近く、河川口に近い部分であり、河川からの流入が特に近年増大していることを示す地点である。微量成分の濃度は堆積速度の早い地点で一般に高く、陸地開発の影響を反映していることを予想させる。
|
Research Products
(2 results)