1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03202253
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
法村 俊之 産業医科大学, 医学部, 教授 (20039530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今田 肇 産業医科大学, 医学部, 助手 (50223326)
欅田 尚樹 産業医科大学, 医学部, 講師 (90178020)
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Keywords | 磁場 / 生物学的効果 / ヒトTリンパ球 / 細胞増殖 / 突然変異 / 超伝導磁石 / 放射線 |
Research Abstract |
超強磁場が哺乳動物細胞の増殖、細胞致死あるいは突然変異誘発に影響を及ぼすか否か、さらに放射線との複合作用の可能性についてヒト末梢血Tリンパ球を用いて調べた。NMRスペクトル装置の超伝導マグネット部(ボア径89mm)に、通常の培養条件と同等な温湿度、炭酸ガス濃度が設定できる細胞培養スタンドを作成し、培養ヒトTリンパ球を超強磁場に長時間連続曝露できるようにした。細胞増殖能に対する磁場効果は、磁場曝露中に経日的に計数した細胞増殖曲線やマイクロプレ-ト・コロニ-法による生存率解析で、遺伝的影響は6チオグアニン抵抗性をマ-カ-として検討した。 末梢血より分離直後のPHA刺激下のGo期T細胞は、6.3T定常磁場への3日間の曝露で、細胞増殖率が対照群の約50%に抑制された。しかし、対数増殖期では、細胞増殖に及ぼす磁場効果は6.3Tの強磁場でも対照培養の80〜90%と微弱であった。また、6.3T定常磁場への連続3日間の曝露でも、器質的変化を伴う6チオグアニン抵抗性をマ-カ-とした突然変異率に影響を与えなかった。放射線との複合作用では、T細胞の放射線感受性の修飾及び放射線障害の修復阻害を示唆する陽性効果が認められた。以上の磁場効果は、4Tの不均一磁場(磁場強度×磁場勾配=180T^2/m)でも観察された。これらの結果は、6.3Tの超強磁場に於ても、その生物学的効果は器質的変化を伴う不可逆的反応ではなく、強磁場が細胞膜の主要構成要素である脂質構造体などに反磁性配向作用を及ぼし、それが刺激となって細胞の分裂周期の変化(増殖速度の変化)、細胞代謝や酵素活性の阻害など一過性的な機能的変化を生じさせる可能性を示唆している。
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[Publications] 法村 俊之: "ヒトTリンパ球への6.3T超強磁場の影響" 電気学会・マグネティックス研究会資料. MAGー91ー113. 33-37 (1991)
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[Publications] 法村 俊之: "哺乳類細胞への磁場影響" 環境要因の人体影響(4)(「人間環境系」研究報告書). G050N20B. 63-72 (1991)
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[Publications] T.NORIMURA: "Biolgical effects of a 6.3T magnetic field on human TーIymphocytes in vitro." Proc.9th International Congress of Radiation Research. 1. 136-136 (1991)