1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03203211
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 彰一 東京大学, 工学部, 教授 (50010799)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長縄 成実 東京大学, 工学部, 助手 (10237539)
松橋 隆治 東京大学, 工学部, 助手 (80229517)
宮沢 政 東京大学, 工学部, 助手 (30010987)
増田 昌敬 東京大学, 工学部, 講師 (50190369)
島田 荘平 東京大学, 工学部, 助教授 (40011233)
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Keywords | 温室効果 / 環境 / 二酸化炭素 / 相挙動 / ハイドレ-ト / クラスレ-ト / 海洋 / 気液平衡 |
Research Abstract |
温室効果ガスとしての二酸化炭素(CO_2)の大気中濃度の増加の抑制は早急な対応を要する課題の一つである。その方策として、最近、CO_2をクラスレ-ト(ハイドレ-ト)の形で深海中に封入するシステムの可能性が研究されている。本研究は、この海洋封入システム設計において最も基本となる低温高圧下におけるCO_2と海水の相挙動特性の測定と海水中にCO_2を投入した時の挙動の数式モデル化を目的とした。 (1)Lw‐H‐Vの三相平衡 気液平衡装置(PVT装置)を用いて、約2.6℃の温度条件下において、CO_2と水を一定割合で混合した試料の容積と圧力の関係の測定及びハイドレ-ト(H)生成過程の観察を行った。ハイドレ-ト生成圧力は、2.1〜2.9MPaと実験により異なる値が得られた。一方、ハイドレ-ト解離圧力は約1.45MPaと一定の値を示した。(2)Lw‐Hの二相領域 CO_2の混合割合の小さい(モル分率0.0468以下の)試料を用いた実験では、Lw‐H‐Vの三相領域からさらに圧力を上げていくとLw‐Hの二相領域が現れた。このハイドレ-トが水相内の全体にわたって生成した状態は約29MPaまで安定に継続することを確認した。海洋中で一旦生成したハイドレ-トは、CO_2濃度が変化しない限り安定な状態を保つと考えられた。(3)CO_2の封入モデルに対する検討 CO_2と水のハイドレ-ト生成・解離においては、安定(平衡)状態に達するまでに大きな時間遅れがあること、及び、ハイドレ-ト生成時においては、混合試料の攪拌状態によって異なる生成圧力が得られることが確認された。CO_2の海洋封入システムの検討では、相挙動の計算モデルにこの時間的要素や攪拌効果を考慮する必要がある。現在は、化学ポテンシャルを用いた計算モデルで相平衡の計算を行っているが、今後は、これらの要素を組み入れた形へ改良していく予定である。
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