1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03203214
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
斉藤 泰和 東京大学, 工学部, 教授 (10010761)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板垣 弘昭 東京大学, 工学部, 助手 (00203076)
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Keywords | ケミカルヒ-トポンプ / 低品位熱利用 / 300℃への昇温 / 反応機構解析 / 担持貴金属触媒 / 2‐プロパノ-ル脱水素反応 / シクロヘキサン脱水素反応 / 熱再生型燃料電池 |
Research Abstract |
1.2‐プロパノ-ル/アセトン/水素系ケミカルヒ-トポンプは,機械仕事でなく分離仕事によって,低品位熱を高温熱に改質する熱機関である。排熱回収過程を担当する2‐プロパノ-ル液相脱水素触媒は,活性・選択性が優れていることはもとより,生成アセトンによる反応阻害の小さい,高性能のものである必要がある。 2.2‐プロパノ-ル脱水素反応初速度はRu>Rh>Ptの序列を与え,ルテニウム触媒が最も高活性であった。ただし,いずれも蓄積する生成アセトンが反応速度を緩やかに低下させ,Ru>Rh>Ptの阻害定数序列にみるように白金触媒が最も小さかった。重水素置換2‐プロパノ-ルを用いる同位体効果から,ロジウムと白金ではメチン基のC‐H結合開裂,ルテニウムでは水素分子の生成・脱離が律速的であることが明らかとなった。 3.メチン基水素解離が容易なルテニウムと水素分子生成に有利なロジウムあるいは白金を複合調製したうえで脱水素活性を調べたところ,それぞれ予期したように,2‐プロパノ-ル脱水素反応を一層速やかに進行させることができた。アセトン阻害はなお残された課題である。 4.炭素担持白金触媒にシクロヘキサン液相脱水素活性のあることが見出された。下飽和炭化水素の水素化熱は,アセトン水素化より高い温度で回収できる。すなわち,アセトン水素化反応で得られる200℃をシクロヘキサン液相脱水素反応の加熱源に用い沸騰温度を高めれば,気相も加圧されるので,ベンゼン水素化反応を300℃以上で進行させることができる。また,シクロヘキサン液相脱水素反応で低品位熱を化学エネルギ-に変換し,逆過程に当たるベンゼン水素化反応のギブス自由エネルギ-変化を電気として回収すれば,それは熱再生型燃料電池を構成する。低品位熱から直接電気を得るエネルギ-変換システムは,今回初めて提案されたものである。
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[Publications] 山下 勝: "2‐プロパノ-ル/アセトン/水素系ケミカルヒ-トポンプシステムにおける水素生成反応と水素吸収反応の役割" 水素エネルギ-システム. 16. 23-38 (1991)
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[Publications] 伊藤 えり: "ケミカルヒ-トポンプ用2‐プロパノ-ル液相脱水素反応における炭素担持ルテニウムー白金触媒の複合作用" 触媒. 33. 187 (1991)
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[Publications] 山下 勝: "炭素担持貴金属触媒による2‐プロパノ-ル液相脱水素反応" 触媒. 33. 368-371 (1991)
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[Publications] Kiyoshi YUKAWA: "Dehydrogenoーaromatization of Cyclohexanes with Suspended Noble Metal Catalysts" J.Chem.Soc.,Chem.Commun.1548-1549 (1991)
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[Publications] Takahiro JUJII: "Thermal Dehydrogenation of Cyclooctane by Supported Noble Metal Catalysts" Bull.Chem.Soc.Jpn.64. 938 (1991)
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[Publications] Toshiaki MATSUBARA: "Photocatalysis of tin(II)ーcoordinated iridium complexes for energy storing with quantum yield higher than using in 2ーpropanol dehydrogenation" J.Mol.Cat.67. 175-184 (1991)
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[Publications] 山下 勝: "高性能ケミカルヒ-トポンプ応用事例集" サイエンスフォ-ラム社, 6 (1991)
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[Publications] 斉藤 泰和: "触媒利用技術集成" 信山社サイテック, 8 (1991)