1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03203227
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
山本 あき勇 福井大学, 工学部, 教授 (90210517)
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Keywords | タンデム太陽電池 / 窒化インジウム(InN) / シリコン(Si) / 光電変換効率 / ヘテロエピタキシャル成長 / 有機金属気相成長(OMVPE) |
Research Abstract |
本研究の目的は,上下太陽電池用半導体材料として、禁止帯幅(Eg)の最適組合せである,Eg=1.9eVのInNとEg=1.1eVのSiを選び,Si基板上へのInNのヘテロエピタキシャル成長を基本とした,InN/Si2接合モノリシックタンデム形太陽電池を作製し,30%以上の変換効率を実現することにある。 1.Si基板上へのInNのヘテロエピタキシャル成長:InN/Siモノリシックタンデム太陽電池作製の基本技術であるSi基板上へのInN膜のヘテロエピタキシャル成長を,有機金属気相成長(MOCVD)法を用いて検討した。昨年度の,成長時の窒素N不足低減によるInN膜表面モフォロジ改善に関する研究製果を基に,Si(111)基板上へのInN(0001)配向膜の成長を検討した。その結果、(0001)配向膜の成長温度範囲が400〜450℃とかなり狭いことが明らかとなった。その原因は,InN成長前に,Si基板の窒化が予想以上の低温(〜500℃)で起こることである。このことを考慮して,Si基板被覆のための低 温(〜400℃)成長,成長中断熱処理および膜厚の増大がInN膜の結晶性に及ぼす効果を明らかにし,これらの方法の採用によりInN膜の高品質化が可能であるとの見通しを得た。 2.InN/Siタンデム太陽電池出力の温度依存性に関する理論検討:タンデム太陽電池は,変換効率の向上のみならず,コストの低減の観点から,集光動作させられる可能性が大きい。集光動作では,温度上昇による効率低下が考えられるが,従来,タンデム太陽電池出力の温度依存性に関する研究例はほとんどない。そこで,InN/Siタンデム太陽電池について,出力特性の温度依存性を理論的に検討した。その結果,2端子,3端子構造ともに,出力特性の温度依存性は,InN上部セルの特徴を強く受け,接合深さなどの構造パラメ-タに顕著に依存することがわかった。すなわち,セル構造の最適化により温度依存性の小さいタンデムセルの実現 が可能であることが明らかとなった。
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