1991 Fiscal Year Annual Research Report
リグノセルロ-ス系資源の生物燃料への変換を律速する微生物グルカナ-ゼの特異性改変
Project/Area Number |
03203234
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
嶋田 協 三重大学, 生物資源学部, 教授 (20024549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
粟冠 和郎 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (20154031)
大宮 邦雄 三重大学, 生物資源学部, 教授 (60023488)
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Keywords | リグノセルロ-ス系生物資源 / 生物燃料 / Ruminococcus albus / 遺伝子の変異 / エンドグルカナ-ゼ / エタノ-ル / キチン分解嫌気性菌 / キチナ-ゼ |
Research Abstract |
リグノセルロ-ス系生物資源の生物燃料への変換を容易にするためには、βー1.4ーエ-テル結合を分解できる微生物酵素群セルラ-ゼ、キシラナ-ゼ、あるいはキチナ-ゼ等の機能改良のための基礎研究を行った。 (1)R.albus遺伝子の短縮によるエンドグルカナ-ゼの特異性変化 セルロ-スを資化してエタノ-ルや酢酸を産生するR.albusのエンドグルカナ-ゼ遺伝子を短縮し、一部を欠損した酵素の特性を調べた。その結果、本酵素のNー末端アミノ酸領域は活性発現や耐熱特性の高揚にかなり重要な役割を持っていることが判明した。 (2)C.thermocellum遺伝子の変異によるエンドグルカナ-ゼの特異性改変 C.thermocellumもリグノセルロ-スを分解してエタノ-ルや酢酸を生成する有用菌である。そのセルラ-ゼ遺伝子を亜硝酸ソ-ダ処理で酸化的脱アミノ化してランダム変異を起こし、2ケ所のアデニンをグアニンに変換した。これより翻訳された酵素蛋白では^<107>GluがGlyに、^<209>LysがGluに変換されており、未修飾の酵素に比して比活性は数分の一に減少し、至適の温度とpHは低下した。耐熱特性には変亥はなかった。ついで、変異の起った遺伝子と未変異の遺伝子とを組換えて得た酵素の特性から、209番目のアミノ酸がこの変異操作により生じた酵素特性を支配していることが明らかになった。 (3)キチン分解嫌気性菌の単離 βー1,4ーグリコシド結合を分解するキチナ-ゼの分解特性を普遍化し、リグノセルロ-ス性資源の可溶化に資する目的でキチン分解嫌気性菌を単離した。本菌は、高い嫌気度を要求するClostridium sp.でキチンを資化し可燃性ガスを産生する菌株で、ジャ-ファ-メンタ-培養では、対数増殖初期以降pHを7.0に維持すると数時間で1%キチンを可溶化した。この培養で生成されたキチナ-ゼの活性は20時間後も安定に維持されていた。
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