1991 Fiscal Year Annual Research Report
リン脂質組織化による生体膜類似表面の生成過程を伴う細胞機能の制御に関する研究
Project/Area Number |
03205030
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
石原 一彦 医用器材研究所, 有機材料部門, 助教授 (90193341)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋沢 忠男 昭和大学, 藤ヶ丘病院・内科, 助教授 (40102339)
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Keywords | リン脂質高分子 / 生体膜 / 血液適合性 / 医用高分子 / 組織化吸着 / 脂質 / タンパク質吸着 / 細胞機能 |
Research Abstract |
材料が血液と接触した際、直ちに血液中に存在する脂質やタンパク質が材料表面に吸着する。この吸着状態により材料の血液適合性が大きく左右される。特に血液と直接接触する吸着層は、材料と細胞系との相互作用を規定する最も重要な要因となるため、この情報を正格に把握することが医用高分子材料の評価には不可欠である。既にリン脂質極性基を有する高分子,2‐メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)共重合体が極め優れた抗血栓性を発現することを見い出した。MPC共重合体表面に吸着するタンパク質をラジオイムノアッセイあるいは金コロイド標識イムノアッセイを利用して分析することにより、血液と接触するタンパク質の種類、量あるいは分布状態を検討した。血漿と接触した表面のいずれの表面でも血清中の濃度が高いタンパク質のみならず、微量タンパク質成分の吸着は認められたが、MPC組成により吸着挙動に大きな差が認められた。MPC組成が増加するにつれて、タンパク質の吸着量が減少した。特にMPCが0.30の共重合体表面には極めてわずかの吸着しか認められなかった。一方、Poly(BMA)表面では吸着量も多く、一部凝集していることがわかった。さらにMPC組成が0.30の共重合体の表面には、ほとんど吸着していないことが明らかになった。タンパク質の吸着実験と同じ条件でヒト全血をポリマ-に接触させた後の表面の状態でもタンパク質と同様にPoly(BMA)表面では細胞の粘着量も多く、一部凝集しているが、MPC組成が0.30の共重合体の表面には、ほとんど粘着していないことがわかった。以上のことから、MPC共重合体は血漿中に存在するタンパク質と弱い相互作用をするために、表面へのタンパク質吸着が少ない材料であると結論できる。このことが血液細胞に対しても、粘着を阻止すると共に活性化を抑制する効果として表われ、良好な抗血栓性の発現に寄与していると考えられる。
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[Publications] K.Ishihara: "Specific Interaction between Waterーsoluble Phospholipid Polymers and Phospholipid Liposome" J. Polym. Sci., Part A: Polym. Chem.29. 831-835 (1991)
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[Publications] 上田 智子: "リン脂質極性基を親水性基として有する高分子の血液適合性" 高分子論文集. 48. 289-294 (1991)
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[Publications] 石原 一彦: "リン脂質極性基を有する表面でのタンパク質吸着と変性の抑制" 生体材料. 9. 243-249 (1991)
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[Publications] K. Ishihara: "Protein Adsorption from Human Plasma is Reduced on Phospholipid Polymen" J.Biomed. Mater Res.25. 1397-1407 (1991)
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[Publications] T. Ueda: "Protein Adsorption on Biomedical Polymers with a Phosphorylcholine Moiety Adsorbed with Phospholipid" J. Biomat.Sci., Polym.Ed.3. 185-194 (1991)