1991 Fiscal Year Annual Research Report
日本語音声における韻律的特徴の実態とその教育に関する総合的研究ー外国人を対象とする日本語教育における音声教育の方策に関する研究ー
Project/Area Number |
03208116
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Research Institution | The National Institute for Japanese Language |
Principal Investigator |
水谷 修 国立国語研究所, 所長 (60088789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土岐 哲 大阪大学, 文学部, 助教授 (10138662)
大坪 一夫 東北大学, 文学部, 教授 (20115538)
佐藤 大和 NTTヒューマンインタフェース研究所, 音声情報部, 主幹研究員
前川 喜久雄 国立国語研究所, 言語行動研究部, 研究員 (20173693)
鮎沢 孝子 国立国語研究所, 言語教育研究部, 部長 (70167972)
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Keywords | 日本語音声教育 / 対照研究 / 疑問文のイントネ-ション / 外国語なまり / 母語の干渉 / 無アクセント方言 / 名詞列挙文 |
Research Abstract |
今年度の研究は評価研究、対照研究、生成・知覚研究、教育研究グル-プに分かれて進めてきた。それぞれ研究グル-プの成果は以下のとおりである。 1.評価研究:英語、韓国語、中国語を母語とする学習者の日本語の発話の「外国語なまり」についての聴取実験を実施した。日本語教師、学生の評価結果をみると、日本語教師のほうが評価が厳しく、母語別評価結果として、単語レベルでは、英語話者のアクセント、韓国語話者の単音、中国語話者の単音、アクセント、文レベルでは、母語を問わず、複合語アクセント、文末イントネ-ション、リズム、ポ-ズなどが問題点として指摘された。 また、別の聴取実験の結果では、外国人学習者の日本語に対し、東京方言話者、大阪方言話者とで、文のどの部分が際立って聞こえるかについて異なった判定をすることが分かった。 2.対照研究:日本語の疑問文の文末上昇調、名詞列挙文の韻律のピッチ曲線の分析を進めるとともに、韓国語、スペイン語、モンゴル語、トルコ語話者の疑問文の文末ピッチパタン、インドネシア語、トルコ語話者の名詞列挙文のピッチパタンについて、それぞれの母語との対照研究の結果をまとめ、日本人とベトナム語話者の日本語の単語の発話中のピッチパタンの対照研究の結果をまとめた。外国人日本語話者の日本語の韻律には、内容と程度に差はあるが、学習者の母語の干渉があり、日本語の韻律の習得上、問題となっていることが明らかになった。 3.知覚・生成研究:東京語における疑問詞疑問文と単純疑問文のイントネ-ションパタンの差異は、分節音が欠如した状況で、両者の聞分けのキュ-になることを、聴取実験によって確認した。熊本、福井の無アクセント方言においても、イントネ-ションパタンは文の統語構造を示す働きを持つことが確認された。また、熊本方言においてはさまざまなタイプのイントネ-ションが存在し、同一の文にいくつかのタイプが使用されることが判明した。 4.教育研究:シンポジウム「日本語音声の韻律的特徴と日本語教育」を開催し、日本語教育現場での日本語音声教育の現状についての討論を行なった。日本でも海外でも、音声教育は未だ軽視されがちであるが、学習者の音声言語習得の意欲は高く、学習者は現状に不満をもっていることが分かった。
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Research Products
(25 results)
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[Publications] 水谷 修,大坪 一夫,鮎沢 孝子: "まとめ" シンポジウム日本語音声教育ー韻律の研究と教育をめぐってー. 95-100 (1991)
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[Publications] 鮎沢 孝子: "日本語教育研究ノ-ト9「イントネ-ションと日本語教育」" 日本語学. vol.10. 98-113 (1991)
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[Publications] 鮎沢 孝子: "日本語音声にみられるピッチの変動" シンポジウム日本語音声教育ー韻律の研究と教育をめぐってー. 4-8 (1991)
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[Publications] 鮎沢 孝子: "諸言語話者による日本語問い返し文の韻律的特徴" 『日本語音声』研究成果報告6. 89-94 (1992)
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[Publications] 鮎沢 孝子: "日本語の疑問文の韻律的特徴" 日本語の韻律に見られる母語の干渉(2)ー音響音声学的対照研究ー. 1-22 (1992)
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[Publications] 佐藤 大和: "日本語の音声合成における韻律" シンポジウム日本語音声教育ー韻律の研究と教育をめぐってー. 14-18 (1991)
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[Publications] 前川 喜久雄: "方言のイントネ-ションーその差異と共通性" シンポジウム日本語音声教育ー韻律の研究と教育をめぐってー. 9-13 (1991)
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[Publications] 前川 喜久雄: "無アクセント方言" シンポジウム日本語音声教育ー韻律の研究と教育をめぐってー. 93-94 (1991)
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[Publications] 前川 喜久雄: "東京方言疑問文のイントネ-ション" 平成3年度日本音声学会全国大会研究発表論集. 42-47 (1991)
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[Publications] Maekawa,K.: "“Perception of Intonational Characterisitics of WH and NONーWH Questions in Tokyo Japanese"" The Proceedings of 12th International Congress of Phonetic Sciences,AixーenーProvence,4.202-205 (1991)
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[Publications] 前川 喜久雄: "日本語名詞列挙構文の韻律についてのおぼえがき" 日本語の韻律に見られる母語の干渉(2)ー音響音声学的対照研究ー. 177-186 (1992)
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[Publications] 河野 俊之: "プロソディと感情的表現 一文節文による考察" 平成3年度日本音声学会全国大会研究発表論集. 11-16 (1991)
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[Publications] 土岐 哲: "外国語話者による日本語音声、プロミネンスの偏りについて" 平成3年度日本音声学会全国大会研究発表論集. 23-28 (1991)
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[Publications] 土岐 哲: "東京出身者と大阪出身者による同一音声資料の聞き取り結果" 『日本語音声』研究成果報告5. 112-115 (1991)
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[Publications] 土屋 順一,土屋 千尋: "モンゴル人学習者の日本語発話に見られる母語の韻律の干渉とその指導上のポイントについて" 『日本語音声』研究成果報告5. 108-111 (1991)
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[Publications] 土屋 順一: "トルコ人学習者の日本語に見られるトルコ語の韻律の干渉" 日本語の韻律に見られる母語の干渉(2)ー音響音声学的対照研究ー. 82-104 (1992)
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[Publications] 土屋 千尋: "モンゴル語学習者の日本語韻律習得の過程" 日本語の韻律に見られる母語の干渉(2)ー音響音声学的対照研究ー. 23-40 (1992)
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[Publications] 泉水 浩隆: "スペイン語話者の日本語の韻律に見られる母語の干渉一語問い返し文を中心として" 日本語の韻律に見られる母語の干渉(2)ー音響音声学的対照研究ー. 41-66 (1992)
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[Publications] 谷口 聡人: "音声教育の現状と問題点ーアンケ-ト調査の結果についてー" シンポジウム日本語音声教育ー韻律の研究と教育をめぐってー. 20-25 (1991)
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[Publications] 谷口 聡人: "日本語の名詞列挙文の韻律的特徴" 日本語の韻律に見られる母語の干渉(2)ー音響音声学的対照研究ー. 140-156 (1992)
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[Publications] 新田 洋子: "インドネシア人学習者の名詞列挙文に見られる母語の韻律の干渉" 日本語の韻律に見られる母語の干渉(2)ー音響音声学的対照研究ー. 157-176 (1992)
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[Publications] 金 仁和: "韓国人学習者の日本語の韻律における母語の干渉" 日本語の韻律に見られる母語の干渉(2)ー音響音声学的対照研究ー. 67-81 (1992)
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[Publications] 轟木 靖子: "ベトナム語母語話者の日本語名詞の発話に伴う音調について" 日本語の韻律に見られる母語の干渉(2)ー音響音声学的対照研究ー. 105-139 (1992)
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[Publications] 轟木 靖子: "ベトナム語母語話者の問い返し文の音調について" STUDIUM 19.
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[Publications] 水谷 修,鮎沢 孝子 編: "シンポジウム日本語音声教育ー韻律の研究と教育をめぐってー" 凡人社, 100 (1991)