1991 Fiscal Year Annual Research Report
統語的あいまい文の理解を決定する韻律的要因ー日・中比較研究
Project/Area Number |
03208205
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Research Institution | Kenmei Women's Junior College |
Principal Investigator |
東 淳一 賢明女子学院短期大学, 英語科, 助教授 (90202621)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津熊 良政 立命館大学, 法学部, 助教授 (50188520)
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Keywords | 日本語 / 中国語 / あいまい文 / 統語構造 / 統語境界 / 韻律的特徴 / 基本周波数 / 日本語教育 |
Research Abstract |
本研究では平成元年度より、統語的あいまい文を素材として用い、音声分析および合成音声を用いた知覚実験を通じて、日本語および中国語の統語的あいまい文の理解を決定する最も重要な韻律的要因を解明してきた。これらの研究成果をもとに今年度は次のような研究を実施した。 1.これまでの研究で得られた結果が本当に妥当性をもつかどうかを検証するため、特に日本語について、自然な連続発話を音声分析し、統語構造と韻律的特徴との関連について考察を加えた。その結果、深い統語境界においては、FOの顕著な立て直しが必ず存在するが、必ずしもポ-ズがおかれるとは限らないということが確認された。 2.外国語として日本語を学ぶ中国人学習者の日本語の発話の音声分析を行い、統語構造と韻律的特徴の対応を考察した。その結果、中国人学習者の日本語の発話においては、FOの立て直しの有無やその程度についてかなり不自然な部分が多いことがわかった。 3.日本語音声教育を念頭におき、標準語の韻律表記法の試案を検討した。その際いわゆるFOの立て直しを語アクセントパタンとは別に表記できるよう創意工夫した。
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[Publications] Azuma,Junichi: "Role of FO and Pause in Disambiguating Syntactically Ambiguous Japanese Sentences" Proceedings of the 12th International Congress of Phonetic Sciences(University of Provence,France). 3. 274-277 (1991)
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[Publications] Tsukuma,Yoshimasa: "The Prosodic Features of Boundaries Used in Uttering Telephone Numbers in Mandarin Chines,Japanese and English" Proceedings of the 12th International Congress of Phonetic Sciences(University of Provence,France). 2. 258-261 (1991)
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[Publications] 東 淳一: "中国人学習者が発話した日本語の韻律上の問題点" 「日本語音声」研究報告5(文部省科学研究費補助金重点領域研究「日本語音声」総括班). 128-131 (1991)
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[Publications] 東 淳一: "統語的あいまい文の理解を決定する韻律的要因ー日・中比較研究" 「日本語音声」研究報告6(文部省科学研究費補助金重点領域研究「日本語音声」総括班). 145-150 (1992)
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[Publications] 東 淳一: "Foの視察と聴覚印象に基づく日本語イントネ-ション表記の可能性について" 日本語アクセントとイントネ-ション(文部省科学研究費補助金重点領域研究「日本語音声」総括班). 89-97 (1992)