1991 Fiscal Year Annual Research Report
有機酸塩熱分解法により作製した高温超伝導ファイバ-の配向制御と薄膜の加工技術
Project/Area Number |
03211217
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
那須 弘行 三重大学, 工学部, 助教授 (20189179)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神谷 寛一 三重大学, 工学部, 教授 (00024597)
|
Keywords | Bi系高温超伝導体 / 臨界電流 / ファイバ- / 薄膜 / 赤外集光加熱 |
Research Abstract |
我々は、既に、有機酸塩熱分解法という化学的なしかも極めて簡便な手法で高温超伝導ファイバ-や薄膜の作製に成功していたが、この手法によると、その後の熱処理の際の多量な有機物の揮発によるボアの為、従来その臨界電流値は他の圧延法や気相法と比較して、低いものであった。今回の研究では、この臨界電流値を上昇させる為に、赤外集光加熱装置を用いて、ファイバ-や薄膜を一担作製した後で、部分溶融をさせて、ポアを除き、粒界間の結合を強め、更には、配向制御を行うことを目的とした。まず、ファイバ-に関しては、再溶融等の後処理に対して比較的安定でTcの高いBi系の2212相を選び、更に、以前その添加が、強度上昇やJcの上昇に効果的であることを見い出していたAgを加えた。一担、ファイバ-化及び熱処理をした後、赤外集光装置を用い700℃〜800℃の温度で局部加熱を行い、1〜10mm/hの速度でファイバ-をひきあげた。Tc測定及びJc測定を行った結果、730℃と800℃の加熱温度で8mm/hの速度で引き上げた場合に最も高いTcが得られた。SEM写真で観察すると、730℃では結晶粒の稠密化がおこっており、一方800℃では、一担生成した結晶粒が再溶融して大きな粒子が生成していることがわかった。特に800℃での場合は、C軸がファイバ-の軸に垂直に配向していた。Jcは800℃のファイバ-が最も高く1270A/cm^2(10K)でIcでも100mAを超えるファイバ-を得ることができた。尚、この値は従来の値の約4倍を超える値である。一方、薄膜でも、赤外集光加熱はJcの向上に有効であった。引き上げ速度が、10mm/h程度では、薄膜中にガラス相が多く生成した。又、1〜3mm/hでは、高温超伝導相の一部分解が確認され、5mm/h程度が最も適切であることがわかった。この条件では、処理前よりTcが5K近く向上し、又、Jcは10Kで、約8000A/cm^2と極めて大きな向上がみられた。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] M.Shoyama,H.Nasu and K.Kamiya: "BiーPbーSrーCaーCuーO HighーTc Superconducting Fibers Prepares by the Pyrolysis of Organic Acid Salts" Japanese Journal of Applied Physics. 30. 950-951 (1991)
-
[Publications] 那須 弘行: "高温超電導厚膜形成技術と応用への展望" 表面科学. 12. 561-566 (1991)
-
[Publications] M.Shoyama,K.Aruga,H.Nasu,J.Matuoka and K.Kamiya: "The Influence of Partial Melting by Infrared Heating on Superconducting Properties of BiーPbーSrーCaーCuーO" 発表予定.