高速回転原始中性子星の重力収縮・分裂・合体過程の研究

1991 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 03218210
• Research Institution: National Astronomical Observatory of Japan
• Principal Investigator: 観山 正見 国立天文台, 理論天文学研究系, 助教授 (00166191)
• Keywords: 重力波 / 超新星爆発 / 原始中性子星 / 重力収縮 / 分裂過程 / 重力不安定性 / 中性子星の回転 / 中性子星の合体

Research Abstract

超新星爆発を起こした進化した星の中心核は、ニュ-トリノ放出等によってエネルギ-を失う事で収縮を始める。この中心核が重力崩壊して中性子星になる過程を、3次元数値シミュレ-ションによって解析する事が本申請課題の目的であった。中性子星形成過程において回転の効果を無視できいものも存在する事が予想されるが、回転の効果を考慮した原始中性子星の進化の過程はまだよくわかっていない。特に、高速回転する原始中性子星は重力崩壊中に分裂する事も予想される。従って本研究では、(1)初期状態のモデル化、(2)状態方程式のモデル化、(3)重力波放出過程の取りこみ、を考慮して、回転を伴う重力崩壊の3次元数値シミュレ-ションを実行した。
これまで流体の運動には重力波放出にともなうエネルギ-や角運動量の消失の効果が含まれていないような計算であった。これは、重力波によるそれらの量の消失が少ない場合は近似として正当化されるが、3次元過程などで大量の重力波の放出が期待される場合は、重力波の放出にともなう流体運動への反作用を計算しなければならない。今年度我々は流体計算法の一種であるSPH法於いてこの反作用項を含めた計算法を確立した。この計算コ-ドを使用して原子中性子星の進化のシミュレ-ションを実行した。進化途中で、分裂が進行する場合は、分裂片が多体問題として再び合体する過程までシミュレ-ションする事に成功した。
以上の過程から、ランダウ・リフシッツ公式を使うことによって重力波放出率を求めた。重力波の放出エネルギ-の総量は、静止エネルギ-の約1%にも達し、経過時間は約25ミリ秒にもなることがわかった。3次元過程であるため、軸対称の過程に比べて大量の重力波の放出が実際に確認された。

Research Products

• [Publications] S.M.Miyama: "Criteria for Collapse and Fragmentation of Rotating Clouds" Publ.Astron.Soc.Japan. (1992)
• [Publications] S.Watanabe: "Collision and Tidal Interaction between Planetesimals" Astrophysical Journal. (1992)
• [Publications] S.Inutsuka: "SelfーSimilar Solutions and the Stability of Collapsing Isothermal Filaments" Astrophysical Journal. 388. (1992)
• [Publications] 矢部 孝,観山 正見,椛島 成治: "パソコンによるシミュレ-ション物理" 朝倉書店, 180 (1992)