1991 Fiscal Year Annual Research Report
エイズウイルスRNAの塩基配列特異的リボザイムによる細胞内破壊の可能性の検討
Project/Area Number |
03219204
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西郷 薫 東京大学, 理学部, 教授 (50136454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎森 康文 東京大学, 理学部, 助教授 (60160389)
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Keywords | エイズ / リボザイム / ウイロイド / HIV / 鋸型リボザイム / RNA切断 / sTobRV / アンチセンスRNA |
Research Abstract |
エイズの治療のために、抗HIV抗体をもちいようとの考えは、最も基本的な考え方の一つであろう。しかし、ウイルスのゲノムが非常に変わり易いため、適切な抗体を作ることは必ずしも簡単ではないとの指摘も多い。我々は、抗体の代替物として、リボザイムを使用する可能性を検討するための基礎実験を行ってきた。ここで用いたsTobRVリボザイムは、RNAを分解するRNA酵素であり、20塩基程度の短い配列からなる触媒ドメインと16ヌクレオチド程度からなる2つのウイング配列からできている。ウイング配列をHIV RNAと相補的となるように選ぶことにより、HIV RNAの任意の地点を切断することが可能となる。本年度は、リボザイムの弱点である弱い活性を増強し、かつ基質(HIV RNA)の可変性に対応できる可能性のある鋸型リボザイムの構築とin vitroでの性質の検討を主としておこなってきた。鋸型リボザイムは、多数のリボザイム単位をホモまたはヘテロにタンデムに連結した複合リボザイムである。前年度の実験によりこのタイプの複合リボザイムは、単純リボザイムよりも分子あたりの活性が増大することが示唆されていた。そこでHIVのpol,gagに対応する多重連結リボザイムの切断活性を詳しく検討した。当初の予想に反して、一般には、多重度の増大は必ずしも活性増大を引き起こすとは限らないこと、また標的となる塩基配列の選択が重要であること、ヘテロ型の複合リボザイムにおいては、標的配列すら変化し、キメラ基質の切断が本来の基質の切断より効率的に起こること、更には、リボザイム配列によっては高頻度で内部切断がおこり“自殺"してしまうことが示された。これらの現象の主原因は、複合リボザイムが単純リボザイムのタンデム構造とは異なった高次構造を形成するためであろうと推定された。非タンデム型高次構造形成を防ぐため活性に無関係なステム部位を長くしたリボザイムの構築とタンデム化の効果を調べるための実験を、現在始めようとしている。
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Research Products
(1 results)