1991 Fiscal Year Annual Research Report
りん核磁気共鳴法によるアクトミオシン反応中間体の立体構造の研究
Project/Area Number |
03223205
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田之倉 優 東京大学, 理学部, 講師 (60136786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 健治 東京大学, 理学部, 教授 (70011533)
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Keywords | ミオシン / アクトミオシン / ATPase / 核磁気共鳴法 / 反応中間体 / NMR / サブフラグメント1 |
Research Abstract |
筋細胞内において、アクチンとミオシンとは、ATPの化学エネルギ-を利用して滑り運動を起こす。滑り運動におけるエネルギ-変換の機序を分子レベルで理解するためには、ATPの加水分解反応の反応中間状態におけるアクチンおよびミオシンの高次構造を解明することが重要である。本研究では、ミオシンATPア-ゼ反応中間体の立体構造について新しい知見を得るために、核磁気共鳴法(NMR)を用いて測定を行った。 ウサギ骨格筋のミオシンをキモトリプシン処理して得られたサブフラグメント1(S1)を用いて、NMR試料管中でATPア-ゼ反応を行ったが、複合体の燐NMRシグナルは観測されなかった。これは、ATP加水分解反応が速く、NMR測定に必要なだけの寿命をもっていないためだと考えられる。ATP加水分解反応が骨格筋ミオシンよりも遅いトリ筋胃ミオシンについても最近、V8プロテア-ゼで処理した後ゲル瀘過することによってS1が得られたので、ミオシンATPア-ゼ反応中間体の観測を試みている。また、ATPのアナログであるADPと骨格筋S1との複合体形成を0℃から25℃までの種々の温度で測定した。その結果、高温では複合体のシグナルが観測されるのに対し、温度を下げていくと複合体のシグナルは線幅が変わらずに強度が弱くなった。これは、S1ーADP複合体には高温型と低温型の2種類の立体構造があるとして説明される。また、高温型複合体では、ADPの燐酸のまわりの電子状態が比較的等方的に分布するのに対して、低温型複合体でてはS1のアミノ酸残基がADPの燐酸と強く相互作用するために燐酸のまわりの電子が異方性をもって分布していると考えられる。平滑筋S1とADPの複合体について燐NMRスペクトルを測定したところ、基本的に骨格筋S1と同じだったので、活性部位近傍の構造は平滑筋の骨格筋でよく似ていると考えられる。
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Research Products
(1 results)