1991 Fiscal Year Annual Research Report
筋肉アクトミオシンのエネルギ-変換複合体の立体構造
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03223209
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
荒田 敏昭 大阪大学, 理学部, 助手 (70151165)
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Keywords | 筋収縮 / アクチン / ミオシン / 滑り運動 / 蛋白質間接触構造 / 分子運動 / エネルギ-変換 |
Research Abstract |
筋収縮ではATP加水分解に伴って2つの蛋白質アクチンとミオシンの相互作用によって張力発生と滑り運動がおこるが、その原動力の本体である蛋白質構造の変化は明らかではない。この中心課題に2つの方向から実験的検討を加えている。1つはアクチン・ミオシン分子のどの部分に運動が起こるかである。一昨年、昨年度ミオシン頭部の首部の軽鎖にスピン化合物を結合させ、ESRを用いて計測される化合物の方向(角度)からミオシン首部の運動を推定したところ、ミオシン頭部内の屈曲性が示唆された。本年度は、張力発生中の実験を横穴式キャビティを用い温度可変装置で温度をコントロ-ルしATPを還流して行っている。現在装置の性能をチェック中であり、近い将来本実験が行えると考えている。 もう1つはミオシン頭部がアクチン線維上を歩行できる複数の「脚」(アクチン結合部位)を持っているかである。昨年度、架橋剤mmaleimidobenzoic acid Nーhydroxysuccinimide ester(MBS)で重合を阻害したアクチン単量体を作成し、ミオシン頭部への結合数を測定したところ、複数の結合部位が示唆された。本年度は結合空間位置を電顕により明らかにした。MBSーアクチンは反応を停止せず遊離のMBSをゲル瀘過で除いてS1と混合すると化学架橋(180kda)が起こる。この架橋アクチンーS1複合体は通常のFーアクチンと結合できないので、結合部位はFーアクチンのそれと少なくとも一部は共通していると考えられる。HMMーアクチン架橋複合体をロ-タリ-シャド-電顕観察すると、頭部ーロッド接合部より約14ー15nmにアクチンの結合がみられ、頭部の先端に近い。ATPやADP存在下では泳動度の異なるアクチンーS1架橋物(140kda)ができる。この架橋はS1のSH1をブロックするとできないので、SH1とアクチンとで架橋が起こることを示唆している。現在この架橋物を電顕観察している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Arata: "Interaction of nonpolymerizable actins with myosin" Journal of Biochemistry. 109. 335-340 (1991)
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[Publications] A.Inoue(ed. M.Tada): "Mechanism of actin mediated stimulation of the myosin ATPase reaction. In “Molecular Biology of the Myocardium"" Japan Sci.Soc.Press,Tokyo/SpringerーVerlag,Berlin,