1991 Fiscal Year Annual Research Report
フラグモプラスト微小管の構築機構における滑り運動の役割
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03223211
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
園部 誠司 大阪大学, 理学部, 助手 (30197024)
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Keywords | タバコ培養細胞 / 細胞質分裂 / 隔膜形成体 / フラグモプラスト / 運動性タンパク質 / 微小管 / 滑り運動 |
Research Abstract |
これまでの研究で、高等植物細胞の細胞質分裂を担う隔膜形成体の赤道部位に微小管を(-)端方向にすべらせる運動性タンパク質が存在することが明らかになっていた。そこで本年度は、この運動性タンパク質の抽出・単離を試みた。 細胞周期を分裂終期に同調化したタバコ培養細胞BYー2をグリセロ-ル処理したものを材料として用いた。抽出条件を、ATPase及びGTPase活性を示標として検討したところ、両活性をもつ因子が高濃度のNacl,MgーGTP及びMgーATPを含む緩衝液で効果的に抽出されることがわかった。粗抽出分画を用いて微小管滑走能を調べたところ低い割合であるが微小管の滑走がみられた。ついで粗抽出分画をDEAEーSephacelにより部分精製したところ非常に高い微小管滑走能をもつ分画が得られた。微小管の滑走は,MgーATP,MgーGTPいずれによっても誘導された。ITP,CTP,UTPは滑走を誘導しなかった。また、(-)端を強い蛍光で標識した微小管を用いて微小管の極性と滑走の方向性の関係を調べたところ,微小管はすべて(-)端方向に滑走していることがわかった。この方向性は,モデル内でみられた微小管押し出しの方向性と一致していた。DEAEーSephacelによって得られた分画にはまだ多くのタンパク質を含んでおり,微小管滑走を担う運動性タンパク質を同定するには至っていない。しかし、微小管との共沈実験を行ったところの分画中に、微小管に結合しMgーATPあるいはMgーGTPで解離する分子量約120KDaのタンパク質が存在することがわかった。現在この120KDaタンパク質を目的の運動性タンパク質の第一の候補と考え、微小管との共沈等の操作を経て単離・精製を進めている。
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[Publications] Asada,T.,S.Sonobe,H.Shibaoka: "Microtubule translocation in the cytokinetic apparatus of cultured tobacco cells." Nature. 350. 238-241 (1991)