1991 Fiscal Year Annual Research Report
知識・情報の生産と流通のための社会経済システムに関する研究
Project/Area Number |
03228120
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鬼木 甫 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (40107107)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗山 規矩 東北大学, 経済学部, 教授 (50004205)
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Keywords | 知識・情報 / 情報 / 知識ストック / 情報ストック / 環境情報 / 公害情報 / 情報産業 / 産業組織 |
Research Abstract |
この研究は、来たるべき高度技術社会における知識・情報の役割について考察し、それぞれの必要に応じた知識・情報の生産・伝達・使用のための社会経済システムを検討し、現存システムの改善と新しい制度の創設に資することを目的としている。現在の経済体制下においては、知識・情報の生産・流通に営利目的で従事する専門の「産業(部門)」が存在し、われわれはこれらの「知識・情報産業」のサ-ビスを受けつつ、自己の知識・情報を形成している。本年度は、知識・情報産業の「最適」構造を研究目標として取り上げた。 競争市場への公的介入・規制は、それが自由競争を制限するかぎり、すなわち民間企業による創意工夫、自主的な決定、リスクと利益の亨受を制限するかぎり、停滞と非効率というマイナスの効果をもたらす。他方、グロ-バル問題への対処をはじめとする自由競争だけでは実現できない公的な目標を実現しようと試みるかぎり、市場活動への公的介入・規制を避けることはできない。この場合の方策は、問題となる産業について、何らかの適切な方法で、市場経済の原理が支配する産業活動と公共的な規制下におかれる産業活動を明瞭に分け、公共的な規制が適用される部分については、その経済規模(そこで生産される付加価値の合計)を最小化するように工夫することである。その結果、与えられた公的目標を実現するために必要な当該産業の政府コントロ-ルが可能になるが、公的介入・規制が当該産業にもたらす非効率性をなるべく小さくすることができる。具体的には、産業内の経済活動を機能別に分割し、機能ごとに自由競争と公的規制を選択することが望ましい。望ましい分割は、それぞれの分野の技術レベル、技術進歩の方向に依存するので、長期的な視点から適切な方法を選ぶべきである。多くの場合、地域別のような「水平分割」でなく、生産段階別の「垂直分割」が適切である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 鬼木 甫,栗山 規矩: "(72)"Measuring Impacts of New Information Technology and the Growth of the Japanese Economy," coーauthored with Tadashi Kuriyama (Tohoku University,Japan)," Keio Communication Review,No.12(Special Issue),March 1991,pp.9〜32.9-32 (1991)
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[Publications] 鬼木 甫: "(73)「規制緩和」" 『世界の中の日本経済ーー国際国家日本の条件』第12章、有斐閣、1991年8月、pp.165〜190.165-190 (1991)
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[Publications] 鬼木 甫: "(74)「わが国電気通信産業の自由化とNTTの民営化がNTTの総生産性に及ぼした影響」" 『規制と競争に関するコンファランス』報告、東京大学、1991年10月。. (1991)
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[Publications] 鬼木 甫: "(75)"Informatization in Japan and Its Impact on Economic Growth,"" Chapter 12 of G.Wang(ed.),Treading Different Paths:Informatization in Asian Nations,Ablex Publishing Corp.,Norwood,New Jersey,U.S.(forthcoming).
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[Publications] 鬼木 甫,栗山 規矩: "(76)"Contribution of New Information Technology to the Growth of the Japanese Economy for 1974ー85ーーAn Application of InputーOutput Model and Productivity Analysis:Part I,"" To be published in Journal of Applied InputーOutput Analysis,vol.1,No.1(May 1992).