1991 Fiscal Year Annual Research Report
地球的環境変化に対する高度技術社会の脆弱性と適応性の比較研究ー持続的発展の為のリスク評価の枠組みと国際比較分析
Project/Area Number |
03228201
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
池田 三郎 筑波大学, 社会工学系, 教授 (40026307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 正昭 筑波大学, 社会工学系, 助手 (80152669)
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Keywords | 高度技術社会 / 地域環境問題 / リスク分析 / 地球環境 / 環日本海 / 気候変動 / 経済生態系 / システム分析 |
Research Abstract |
本年度は、経済のグロ-バル化の傾向と相まって地球的規模の環境質変化が特徴的に出てくるだろうと思われる環日本海地域を取り上げて比較分析を行った。すなわち、日本海をとりまく沿岸域における気候温暖化のシナリオに伴ってどの様な環境リスクが存在し、このリスクにたいしてどの様な社会的な応答が可能であるのかを地域社会システムとしての脆弱性と適応性の観点から整理し、下記のような考察を加えた。 (1)地球的な規模の気候変化のマクロな動向が地域的レベルでの沿岸域や閉鎖性海域の気候変動にどのような不確定性(リスク)をもたらしてきたのかを、古地質学、古生物地理学、古気象学の視点から整理した。 (2)沿岸域資源や海洋資源の変動に対して、持続的発展と適応のための地域社会の対応をシステム方法論に立脚して:生態的脆弱性(Ecological Vulnerability)、社会経済的脆弱性(Socio‐Economic Vulnerability)、地域システム的適応性(Accountability of Regional System' Response)から整理し、環境・技術リスクの展望(risk profile)を作成した。 (3)今後予想される地球規模環境変化のシナリオと産業技術社会の制度的な応答のシナリオ(資源と環境の持続的な開発と保全のための空間的な考察を含む)の明確化を行い、リスク管理のための枠組みを考察した。 その結果、日本海を囲む沿岸域の環境リスクへの対応は、なによりも大陸の閉鎖性付属海としての日本海の生態学的な脆弱性を認識することから出発しなければならないこと、この環境資源の脆弱性を環日本海の諸国に共通の認識にするために、環境モニタリングの充実と共に環境リスクの具体的かつ実証的な研究がますます必要になってくることを明らかにした。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 池田 三郎,藤原 茂之: "沿岸域資源の持続的利用と環境保全に関する経済‐生態系モデル" システム農学(システム農学会誌). 7,2号. 48-64 (1991)
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[Publications] 池田 三郎: "地球環境変化に対する高度技術社会の脆弱性と適応性ー持続的発展のためのリスク分析ー" 第6回環境工学連合講演会論文集(日本学術会議環境工学研究連絡委員会). 第6巻. 37-42 (1991)
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[Publications] 池田 三郎: "リスク概忍とその現代的な使われ方ーリスクの社会性の次元ー" Isotope News((社)日本アイソト-プ協会誌). 16-19 (1992)