1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03228203
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
綿拔 邦彦 東京大学, 教養学部, 教授 (70012333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 穆一郎 東京大学, 教養学部, 助教授 (90012426)
永野 三郎 東京大学, 教養学部, 教授 (50010913)
浜田 隆士 東京大学, 教養学部, 教授 (60012366)
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Keywords | 地球環境 / ゆらぎ / 周期性 / 地球温暖化 / サンゴ礁 / 火山活動 |
Research Abstract |
古気候の解析にボ-リングコア中の種々の情報を用いることができるが,手法としてのパワ-スペクトル解析がどのように有効であるかを検討した。FT法(フ-リュ解析),AR法(自己回帰法)を比較し,ピ-ク位置の解析にはAR法が,一般にはFT法が有効であり,規則正しい周期性があれば両者は一致すことが明らかとなった。また両者の結果を比較することにより,二次的ゆうぎの判定が可能であることもわかり,これは今後の地球環境解析に有効であることが示された。 フィ-ルド調査,研究の対象として,海水面変動を把握する目的でサンゴの分布と水準の測定,および火山活動の変動をとりあげ,ゆらぎとサイクルの点から検討した。 生物には独自の環境適応能力があるが,古気候の変動の指標として用いるとタイムラグがある。これも考慮しつつ,わが国における後氷期海進の時代に担当する1万年〜6千年前の造礁性サンゴの調査を行った。その結果,現在の館山湾の平均水温より,当時この地球の平均水温は3℃高いことが明らかとなった。日本列島は海流のため,過去,現在を通じ,地球の平均よりも上回る温暖化を示しており,このことは今後地球環境を考えるとき,特に温暖化の問題を考えるとき,このことを十分に考慮すべきことが明らにされた。 一方,火山活動に関しては,わが国の草津白根火山で32年間(1961ー1992),ニュ-ジ-ランドのルアペフ火山で24年間(1968ー1991),コスタリカのポアス火山で7年間(1984ー1990)の活動を解析した。火口湖水中の硫黄化合物,特にポリチオン酸の解析から,火山の静穩期には,1年の周期の変動が認められ,火山活動に対してマグマ,水の相互作用で1年周期のゆらぎのあることが世界で始めて明らにされた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 綿拔 邦彦: "地球環境のゆらぎとサイクルの研究ー古環境のゆらぎの検討ー" MACRO Review. 4. 19-22 (1991)
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[Publications] 綿拔 邦彦: "地球環境に及ぼす太陽定数,アルベド,赤外吸収効果の試算ーコンピュ-タソフトの試作と応用ー" MACRO Review. 4. 51-53 (1991)
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[Publications] 綿拔 邦彦: "低鉛含有北投石の生成条件" 温泉科学. 41. 209-216 (1991)
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[Publications] T.HAMADA: "Three Dimentional Reconstruction of Fossils with X‐ray CT and Computer Graphics." 東京大学自然科学紀要. 41. 107-118 (1991)
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[Publications] 浜田 隆士: "地史的物質循環におけるサンゴ礁の生態学的役割" 月刊海洋. 23. 779-784 (1991)
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[Publications] グル-プPAS編 綿拔,浜田分担: "デザインビッグバン人類と地球ー共存の可能性を探るー" PHP研究所, 194 (1991)
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[Publications] 竹内 啓,湯木 昌編 綿拔分担: "地球を考えるー地球環境のマクロエンジニアリングー" 三田出版, 240 (1992)