1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03230114
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Research Institution | International Research Center for Japanese Studies |
Principal Investigator |
速水 融 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (40051164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 信 立教大学, 文学部, 助教授 (90151802)
古田 和子 東洋英和女学院大学, 人文学部, 助教授 (20173536)
斎藤 修 一橋大学, 経済研究所, 教授 (40051867)
黒須 里美 国際日本文化研究センター, 研究部, 助手 (20225296)
小野 芳彦 国際日本文化研究センター, 研究部, 助教授 (20126022)
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Keywords | 歴史人口学 / 近世奥羽地方 / 近世都市人口 / 明清時代 |
Research Abstract |
1)自然環境変動.二次文献を通じて、10年を単位とする目の細かい自然環境の変動は、観察不可能であることが分かった。ただ、小氷期とよばれる、比較的寒冷な時期が18世紀にあり、日本の天明期の人口減少をある程度説明出来そうである。しかし、現在判明している知識で人口変動をどこまで説明できるかは疑問なので、来年度以降は、この問題は強いて追わないことにする。2)社会変動.とくに近世日本の都市化の状況について、各地方史に遡って指標を求め、全貌をほぼ明らかにすることが出来た。3)巨視的人口変動.近世ー明治期の人口趨勢に関する基礎資料を収集し、旧国別に人口変動の状態を明確にすることが出来た。4)微視的人口変動.自然環境の変動、とくに気温の変動の影響を最も敏感に受けるのは、当時の世界で、稲作の北限であった奥羽地方である。そこで、この地方において、人口変化の詳細を知り得るような史料、宗門改帳または人別改帳を捜し出し、その整理分析を通じて、自然変動期における人口や家族の変化、あるいは、人口変動から自然変動を探ることが可能であると考え、福島県を中心に史料調査を実施し、旧二本松藩領の郡山およびその周辺村落、会津山間部等で、長期にわたって連続して利用可能な史料を見出し、マイクロフィルムによる撮影、その読み取り、整理シ-トの作成を進めつつある。また、それとともに、近畿およびその周辺部の都市についても史料調査を行い、播磨国高砂町の宗門改帳のマイクロフィルム撮影を行った。これらの個別事例を重ねることを通じて、巨視的人口変動の中身を実証的に明白にすることが出来るだろう。5)中国については、明清時代の系譜類の収集を行い、人口変動の内容を明らかにする基礎作業を行った。
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[Publications] 黒須 里美: "弘化3年ヒノエウマ:文化と人口の地域性" 『日本研究』(国際日本文化研究センタ-紀要). 第6集. (1992)
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[Publications] Satomi Kurosu: "Ecology of the Extended Family in Japan" Japan Review. 3号. (1992)
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[Publications] 斎藤 修: "家族史と人口史" 『社会経済史学の課題と展望』(有斐閣). 81-98 (1992)
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[Publications] 速水 融: "近世濃尾地方の人口・経済・社会" 創文社, 350 (1992)