1991 Fiscal Year Annual Research Report
界面活性剤濃厚溶液におけるミセル構造のダイナミックス
Project/Area Number |
03231217
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
加藤 直 東京都立大学, 理学部, 助教授 (30142003)
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Keywords | 界面活性剤 / ミセル / ダイナミックス / 粘度 / 拡散 / NMR / 溶液 / 緩和 |
Research Abstract |
界面活性剤は水中で臨界ミセル濃度(cmc)と呼ばれる濃度以上になるとミセルを形成する。ミセルは通常球状であるが、条件によっては棒状などの形に変わって成長する。ここ数年間、いくつかの系の濃厚溶液において、紐状のミセルが絡み合っていることを示唆する結果が得られている。本研究では、ミセルの絡み合いの動的側面をそれぞれ微視的および巨視的な見地から議論する上で有用な物理量である、自己拡散係数と粘度の測定を行なった。系としては、代表的な非イオン性界面活性剤C_nH_<2n+1>(OC_2H_4)_mOH(C_nE_m)を選んだ。 界面活性剤分子の自己拡散 自己拡散を測定する手段として、パルス磁場勾配^1Hスピンエコ-(PGSE)を用いた。得られた界面活性剤の自己拡散係数を濃度に対して両対数プロットし、高分子系と比較した。鎖状高分子の準希薄溶液においては、高分子の拡散係数は濃度と共に単調に減少し、良溶楳に対しては傾きは‐1.75となる。光散乱の結果からは、40℃以上で鎖状高分子系と類似した挙動が観測されている。ミセルの解離や融合が起こらなければ、この温度領域での自己拡散係数のプロットも高分子系と同程度の傾きを与えるはずであるが、観測された値はこれに比べてはるかに小さい上、高濃度側では農度の増加と共に拡散係数が増加する傾向すら見られた。このことはミセル間の分子移動が起こっていることを示唆している。 粘度 粘度についても濃度に対して両対数プロットし、高分子系と比較した。低温領域では粘度はかなりの高濃度まで低い値を保っており、ある濃度で急激に増大した。温度が上昇すると、粘度が急増し始める濃度は減少した。これらの結果はミセルの絡み合いを支持している。しかし高温度領域でのプロットの傾きはスケ-リング理論では説明できなかった。これはミセル系独自の性質が観測されていることを意味する。
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