1991 Fiscal Year Annual Research Report
錯体触媒を用いるヒドロシリル化の分子設計による高効率化と作用機構の解明
Project/Area Number |
03233212
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 健児 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (60023149)
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Keywords | ヒドロシリル化 / ロジウム錯体触媒 / ロジウム(V)ヒドリド / メリジオナル配位子 / 不斉合成 / 不斉ヒドロシリル化 / 脱水素シリル化 |
Research Abstract |
メチレン鎖2〜3個をへだてて存在する2個のジメチルシリル基は,ロジウム(I)ホスフィン錯体と室温付近で反応し,遷元と二重酸化的付加を経由して,超高活性なトリヒドリド・ロジウム(V)ジシラメタラサイクル中間体を生成すること,ならびにこのトリヒドリド種の高いヒドリド移動機能と容易に解離できる2つのシス位に存在するトリフェニルホスフィン配位子のうち,ヒドリドに対しトランス位のリン配位子が選択的に解離し基質を配位圏に取り込む機能が,高選択的な二官能性ビスヒドロシランのモノヒドロシリル化活性の要因であることを明らかにした。ヒドロシリル化においてPh(V)【double arrow】Rh(III)の酸化還元過程が主として関与する最初の反応例として本反応は注目される。 触媒的ヒドロシリル化の適用限界をさらに拡張するため,不斉ヒドロシリル化の高効率化を検討した。不斉収率の飛躍的向上を目的として新規な三座配位子,2,5ービス(オキサゾリニル)ピリジン(Pybox)を分子設計し,天然アミノ酸を不斉源とする短工程合成法を確立した。(S)ーバリンから誘導したPyboxを配位子とするC2キラルなロジウム錯体は,銀塩の存在下,ジフェニルシランを反応剤とする種々プロキラルケトンの触媒的不斉ヒドロシリル化において,きわめてすぐれた化学収率と,90%をこえる高い不斉収率が実現された。 またpybox配位子の特異なメリジオナル配位構造は,従来のロジウムの有機金属化学の知見と全くことなる挙動を示し,ロジウム(I)錯体に対するクロロカ-ボン類の酸化的付加,安定なジメチルクロロ・ロジウム錯体の生成などの新たな事実を明らかにした。さらにこれらPyboxロジウム錯体は,上にのべた複核ヒドロシラン類の高いケトンに対する脱水素モノシリル化反応の触媒となることも発見した。
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[Publications] Hisao Nishiyama: "Highly Enantioselective Hydrosilylation od Ketones with Chiral and C_2ーSymmetrical Bis(oxazolynyl)pyridineーRhodium Catalysts" Organometallics. 10. 500-508 (1991)
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[Publications] Hisao Nishiyama: "OxidativeーAddition Reactions of Alkyl Chlorides with Chlorobis(cyclooctene)rhodium(I)and the Bis(oxazolynyl)pyridine Ligand:Formation of Stable(Chloromethyl)rhodium(III)Complexes and Their Reactions." Organometallics. 10. 2706-2708 (1991)
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[Publications] H. Nishiyama: "Methylation of bis(oxazolynyl)pyridineーrhodium(III) chloride with trimethylaluminum" Journal of Organometallic Chemistry. (1992)