1991 Fiscal Year Annual Research Report
イオウ,窒素元素の求換および親電子活性化に及ぼす遷移元素の触媒的役割の解明
Project/Area Number |
03233226
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
田丸 良直 長崎大学, 工学部, 教授 (80026319)
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Keywords | 2,3ーブタジエン / アミノ化 / アミノカルボニル化 / 銀触媒 / Pd(II)触媒 |
Research Abstract |
遷移金属の触媒作用は炭素ー炭素,炭素ー酸素結合の生成や切断において重要である。しかし酸素以外のヘテロ原子、例えば炭素ー窒素や炭素ーイオウ結合の生成や切断に関する遷移金属の触媒としての役割の重要性は余り認識されていない。本研究では、この点に着目して遷移金属を触媒とする窒素ー炭素結合生成反応を開発することを検討し、以下の結果を得た。 1。Nートシル0ー(2,3ーブタジエニル)カ-バメ-トがトリエチルアミン存在下,銀(I)塩を触媒として分子内アミノ化をうけ,高収率で4ービニルー2ーオキサゾリジノンを与えることを発見した。2,3ーブタジエニル基の1位および4位に置換基が存在する場合にも本反応は適用可能である。これらの場合には,いずれも2〜4種のオキサゾリジノン異性体を与える可能性があるものの,立体異性体としては1〜2種類しか得られず興味深い立体選択性を示した。なお,銅(I),銅(II),パラジウム(II)塩系では触媒不活性で,塩基の存在は必須であった。 本反応は非対称なアリルアミンを位置および立体選択的に合成する方法として極めて優れている。 2。Nートシルー0ー(2,3ーブタジエニル)カ-バメ-トが塩化パラジウム(0.01〜0.002当量),塩化銅(II)(1当量),モノクロロ酢酸ナトリウム(2.3当量),メタノ-ル中,一酸化炭素一気圧,30℃の条件下に分子内アミノカルボニル化をうけ,Nートシルー4(1'ーメトキシカルボニル)ビニルー2ーオキサゾリジノンを高収率で与えることを発見した。この反応は以下の諸点で際立った特徴を示す。1)上記へのアミノ化反応ではPdCl_2は触媒不活性であったが,本反応では良好な触媒活性を示す。2)この反応は2価パラジウムが酸化剤として作用する反応であるが、この種の反応としては触媒回転数が500回以上と極めて優れている。3)生成物はβーアミノ酸骨格を有し,抗生物質合成中間体として重要である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Y.Tamaru: "Palladium(II)ーCatalyzed Carbonylation of 3ーButenー1ーols and 3ーButynー1ーols;An Efficient Synthesis of γーButyrolactones." J.Org.Chem.56. 1099-1105 (1991)
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[Publications] M.Kimura: "Silver(I)Catalyzed Amino Cyclization of 0ー(2,3ーButadienyl)Carbamates: An Efficient and Stereoselective Synthesis of 4ーVinylー2ーoxazolidinones." Tetrahedron Lett.32. 6359-6362 (1991)
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[Publications] T.Bando: "Efficient Synthesis of 2ーVinylーγーButyrolactones and 2ーVinylーγーButyrolactams by palladiumーCatalyzed Decarboxylative Carbonylation." Bull.Chem.Soc.Jpn.65. 97-110 (1992)
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[Publications] K.Yasui: "Synthesis of 1ーAllyloxyー1ーsiloxycyclopropanes and 1ーPropargyloxyー1ーsiloxycyclopropanes." Tetrahedron Lett.
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[Publications] K.Yasui: "Palladium(II)Catalyzed Novel Rearrangement of 1ーAllyloxyー1ーsiloxycyclopropanes." Tetrahedron Lett.
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[Publications] Y.Tamaru: "Palladium(II)ーcatalyzed Aminocarbonylation of Unsaturated Carbamates." Tetrahedron Lett.33. 631-634 (1992)
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[Publications] 田丸 良直(分担執筆): "合成化学者のための実験有機金属化学" 講談社サイエンティフィク, (1992)