1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03234104
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
梅谷 陽二 東京工業大学, 工学部, 教授 (20013120)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊能 教夫 東京工業大学, 工学部, 助教授 (70126308)
山崎 信寿 慶応義塾大学, 理工学部, 助教授 (70101996)
久田 光彦 北海道大学, 理学部, 教授 (70000768)
松岡 清利 九州工業大学, 工学部, 教授 (90110840)
沢田 康次 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (80028133)
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Keywords | 自律分散システム / 適応的機能 / 自己組織化 / 生体組織 / 神経メカニズム / バイオメカニクス |
Research Abstract |
本研究は、生物の細胞レベルから個体レベルまでの各段階にみられる多種多様な自律分散機能を総合的に探りながら、自律分散システムの機構を明らかにしようとするものである。そのために細胞、組織、器官、個体の各レベルでの自律分散システムに注目し、それぞれの段階において生物実験および理論的検討を行ないながら、自律分散システムの全体像を明らかにしようとしている。 平成3年度の研究概要としてここでは、器官レベルの小腸運動の研究成果を中心にして、生体システムの自律分散的特徴について述べる。 小腸では、外来神経の支配がなくても運動の発現・制御が実現されている。その基本的挙動は、多数の自律的な一次元的に結合したモデルで表現可能である。そして、各要素には自励振動的に活動状態が変化する特性があり、これがシステム全体の秩序形成に役立っている。粘菌の運動や心臓の活動電位の伝播では、原理的には上記のモデルを二次元、あるいは三次元に拡張したモデルで表現可能であると考えられ、各要素の特性も小腸と同様に振動的活動状態が重要となっている。 各要素間の情報伝達は、小腸では電気的および機械的に行なわれており、前者によって秩序ある運動を行なう基盤を整え、後者によって内容物の輸送性能を向上させている。このような機構は他のレベルでも認められ、化学的あるいは電気的、機械的な情報伝達によって、さまざまな生体特有の機能が発現し、またシステム全体がうまくまとめられている。 今後は、以上の研究成果を踏まえて、個(要素)にどのような機能あるいは性質が与えられていると、全体(システム)として、どのような挙動が生じるか(秩序形成)をさらに探っていきたいと考えている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 伊能,梅谷,藤原,富田: "骨組織の適応的変形機能に学んだ構造材のデザイン" 自律分散第2回全体講演会論文集. 223-226 (1992)
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[Publications] Nagayama H and Hisada M: "Local nonspiking interneurons as a separate integrator of motorneurons in crayfish" Comparative Biochemical Physiology. 98C. 73-78 (1991)
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[Publications] Sawada Y: "Pattern Formation in Biological and Nonbiological Systems" Proceeding of the 4th Asia Pacifics Conference. 1. 695 (1991)
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[Publications] V.ウィリアムス,徳成,松岡: "ランダム探索による神経回路の学習" 自律分散第2回全体講演会論文集. 107-112 (1992)
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[Publications] 山崎: "自然歩容の生体力学的決定基準" 自律分散第2回全体講演会論文集. 1-4 (1992)
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[Publications] 伊能: "腸管運動の制御" 計測自動制御学会学術講演会予稿集. 853-854 (1991)