1991 Fiscal Year Annual Research Report
腸管における自律分散システムの解析:腸神経系の機能構築と腸運動の自律制御機構
Project/Area Number |
03234207
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
片山 芳文 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (20014144)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辰巳 仁史 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (20171720)
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Keywords | 腸管運動 / 自律分散制御 / アウエルバッハ神経叢 / 神経細胞 / 神経回路 / シナプス電位 / 自己組織化 |
Research Abstract |
本研究では局所的に腸管運動を発現・制御する腸神経系の機能構築と神経回路形成に関する研究を行っている。モルモット回腸のアウエルバッハ神経叢では、肛門側へ向かう神経経路が優位であることを示したが、本年度は経壁電気刺激で個々のニュ-ロンの入・出力路の広がりを調べた。運動ニュ-ロンであるS細胞でfast EPSPを発生させるためには、口側方向に約8.5mm、肛門側方向に約6.5mm離れた部位における刺激が有効であった。また、電気刺激で惹起した逆行性活動電位の観察では、肛門側方向へ約11mm、口側方向へ約4.5mmまで神経突起をそれぞれ伸ばしていることが確認された。感覚ニュ-ロンであるAH細胞ではfast EPSPを発生しないので、逆行性活動電位の広がりで比較したところ、両方向へ約5.0mmまで神経突起を出している可能性が確認された。さらに、SおよびAH細胞の両者でslow EPSPとIPSPに関する解析も必要である。神経細胞を賦活する作用を持つ薬物であるTNー871は、電気刺激で誘発した腸管収縮を低濃度(100nM以下)で促進したが、高濃度(1μM以上)では抑制した。この結果は前に報告したTNー871の伝達物質放出制御作用と矛盾せず、局所的神経伝達を修飾する要因は腸運動の制御機構にも影響することを示す。モルモット腸管を酵素処理しアウエルバッハ神経節を分離して長期間培養すると神経細胞は移動して、遂には神経細胞で構成される疎な網目構造になり神経節構造は消失する。この経過中に神経末端部に出現する成長錘の振舞いを、今回試作したビデオ強化型高倍率微分干渉顕微鏡を用いて観察した。成長錐を高濃度カリウムで局所的に刺激すると成長錘フィロポディアの伸展と運動の増大が起こり、丁度シナプス形成の対象を探索しているようである。神経回路形成の自己組織化機構を解明するために今後中枢神経細胞との比較検討を行う。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 片山 芳文,辰巳 仁史: "モルモット小腸のアウエルバッハ神経叢の機能構築" 日本生理学雑誌. 53. 99-101 (1991)
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[Publications] 辰巳 仁史,片山 芳文: "ビデオ強化型高倍率顕微鏡の製作とラット中枢神経細胞成長錘の観察" 生物物理. Suppl.31. S264 (1991)
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[Publications] Katayama,Y.and Morita,K.: "TN‐871 facilitates and inhibits synaptic transmission in the myenteric plexus of the guinea‐pig lieum." Neuroscience Research. Suppl.16. S23 (1991)
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[Publications] 辰巳 仁史,片山 芳文: "神経回路形成の素過程" 自律分散システム・全体講演会論文集. 2. 59-62 (1992)