1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03236105
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉浦 幸雄 京都大学, 化学研究所, 教授 (40025698)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 静之 名古屋大学, 理学部, 教授 (90022540)
小林 進 東京大学, 薬学部, 助教授 (70101102)
生越 久靖 京都大学, 工学部, 教授 (90026188)
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Keywords | DNA認識 / DNA切断 / エンジイン化合物 / ダイネミシン / エスペラミシン / ブレオマイシン / プタキロサイド / ポルフィリン |
Research Abstract |
天然活性物質による核酸の精密構造認識と機能発現を共通テ-マに数多くの新しい知見を得つつあるが,特に現在,天然物化学・有機化学領域で最もホットな話題を浴びている強力な抗腫瘍活性を有するエンジイン型化合物のDNA認識と作用発現に関して格段の進展が見られた。分子内にアンスラキノン環とエンジイン環とを合せもったダイネミシンAの活性化メカニズムに関連して,ダイネミシンAとメチルチオグリコレ-トとの反応生成物を液体クロマトグラフィ-によって分離し,主生成物としてダイネミシンHを単離・精製することに成功した。本反応生成物をマススペクトル,NMRスペクトル,電子スペクトルなど各種分光学的手段を駆使して同定した。その結果,ダイネミシンHはエンジイン核が環化し,またエポキサイドが開裂した化合物であることが明らかにされた。これによって,ダイネミシンAの還元剤による活性化機構が分子レベルで解明され,ダイネミシンAはエスペラミシンとは全く異なる過程をたどるが,最終的な環化のメカニズムは極めて類似していることがわかった。水溶性の10員環エンジイン骨格の合成とその塩基配列選択的なDNA切断の確認は,エンジイン骨格自身による重大なDNA認識能を示すものとして注目される。また,非天然型糖鎖を導入した人工ブレオマイシンの合成,ワラビの成分プタキロサイドとその関連化合物によるDNAの化学修飾,そして核酸認識能を有する機能性ポルフィリン類の合成についても順調に研究が進行している。今後,これらDNAの精密構造認識に関する研究が大きく発展すれば,化学や薬学の分野で有用な化合物の分子設計にも有用な知見をもたらすことが期待される。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] M.Uesugi: "Selective DNA cleavage by elsamicin A and switch function of its amino sugar group" Biochemistry. 30. 6711-6715 (1991)
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[Publications] Y.Uesawa: "Heat-induced DNA cleavage by esperamicin antitumor antibiotics" Biochemistry. 30. 9242-9246 (1991)
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[Publications] M.Hirama: "Synthesis and DNA-cleaving abilities of functional neocarzinostatin chromophore analogues.Base discrimination by a simple alcohol" J.Am.Chem.Soc.113. 9851-9853 (1991)
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[Publications] M.Otsuka: "A synthetic model approach to the sugar moiety of bleomycin" Heterocycles. 33. 27-34 (1992)
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[Publications] A.Yonezawa: "Binding of tachyplesin I to DNA revealed by footprinting analysis.Significant contribution of secondary structure to DNA binding and implication for biological action" Biochemistry. 31. (1992)